文化祭 御沢の場合
「沢村、次どこいく?」
文化祭2日目。俺たちは久々に羽をのばす。もちろん準備は大変だったが、めったに校内でカップルに紛れてなんて回れない。今日は人が多くて疲れるけど、それ以上に幸せだ。だってテンションが上がった沢村がくっついてきてくれるし!
「沢村ー?」
振り返ってみると沢村がいない。周りを見てみてもいない。
はぐれた?
最悪だ。あと二時間くらいで店番なのに。一分たりとも無駄にしたくねぇ。
慌てて探しに行こうとすると、くいくいっと袖をひかれた。
「御幸、こっち」
見ると沢村がいて、少し焦ったような顔をしてた。
「もーいきなり居なくなんなよー」
責めるつもりはなかったけど、愚痴をこぼしたらむっとされた。そんな顔も可愛いとか思ってしまう自分がいて、内心苦笑する。
「御幸がどっかいったんだろ。探したのに!」
「はは、そっか。悪いな」
「な、なんで謝るの…きもっ!」
「え、なんでひどくねぇ?」
「それよりドーナツ!売り切れちまう!」
「売り切れねぇよ、ばか」
俺の手をひいて人混みの中を進んでいく沢村の耳が、少し赤くて。
人の熱気にやられたんじゃなくて、俺のせいだったらいいと思う。
ひかれた手を握り返した。
「御幸、一口!」
「はいはい」
end
短いな…orz
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