文化祭 御沢の場合






「沢村、次どこいく?」


文化祭2日目。俺たちは久々に羽をのばす。もちろん準備は大変だったが、めったに校内でカップルに紛れてなんて回れない。今日は人が多くて疲れるけど、それ以上に幸せだ。だってテンションが上がった沢村がくっついてきてくれるし!

「沢村ー?」


振り返ってみると沢村がいない。周りを見てみてもいない。


はぐれた?



最悪だ。あと二時間くらいで店番なのに。一分たりとも無駄にしたくねぇ。
慌てて探しに行こうとすると、くいくいっと袖をひかれた。


「御幸、こっち」


見ると沢村がいて、少し焦ったような顔をしてた。

「もーいきなり居なくなんなよー」


責めるつもりはなかったけど、愚痴をこぼしたらむっとされた。そんな顔も可愛いとか思ってしまう自分がいて、内心苦笑する。


「御幸がどっかいったんだろ。探したのに!」

「はは、そっか。悪いな」

「な、なんで謝るの…きもっ!」

「え、なんでひどくねぇ?」

「それよりドーナツ!売り切れちまう!」

「売り切れねぇよ、ばか」



俺の手をひいて人混みの中を進んでいく沢村の耳が、少し赤くて。
人の熱気にやられたんじゃなくて、俺のせいだったらいいと思う。




ひかれた手を握り返した。







「御幸、一口!」

「はいはい」





end

短いな…orz



[ 8/8 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -