無自覚恐怖
どうも土方十四郎です。
今日は一段と寒いなぁ、と思っていたら、総悟が風邪をひきました。
「けほっ、」
はぁはぁと荒い息が部屋に虚しく響く。
先程、無理矢理土方に計らせられた体温を見て正直驚いた。
熱のためか息苦しく、目は潤み、普段は白い肌を紅潮させている総悟を見て、土方は余計に顔を歪ませた。
「だから言っただろうが。頭が痛いなら薬飲めって。ちゃんと厚着しろって。もう18なんだから自分の体調管理くらいちゃんとしろ。」
そう言われて口を尖らせた総悟はなにか言いたげだったが、どうやら怠さの方が勝ったらしく、珍しく反抗してこなかった。
まぁそれでも、潤んだ目で睨んできてはいたが。
「けほっ、けほ、ひじ……かた、………し、ね……。」
そう言うと一層咳き込み、ざまぁみろという風に見下ろしてやった。
わかっている。大人げない事くらい。わかっているさ。
自嘲気味に笑うと、総悟が怪しげに俺を見てきた。
「土方、さん……?」
苦し気に見てくるもんだから、ついその真っ赤に染まった頬を手の甲で撫でていた。
「土方さんの手、冷たくて、気持ちいいでさぁ…。」
そう言いながら総悟は目をつむる。
あぁ、無自覚って怖い。
すやすやと先程より気持ち良さそうに呼吸する総悟。その赤い頬も、長い睫毛も、少し乾いた唇も、汗をかいて張り付いた髪の毛も、全てが自分を誘っているという風に感じてしまう。
「………末期だな………。」
ぽつりとそう溢して苦笑すると、土方は、触れるだけのキスを、総悟の額に、落とした。
お前がそんなに無自覚で、馬鹿で、どうしようもないから、俺はついついムキになってしまうんだ。
最も、それでも良いかと思っている自分がいるから、我慢しようとか、直そうとかなんて、全く思っていないのだけれど。
早く元気になってくれ。お前がそんなだと、調子が狂う。
歯止めが、効かなくなるだろう?
また苦笑すると、総悟の汗を拭った。
end
[ 3/11 ][*prev] [next#]
![](//img.mobilerz.net/sozai/1737_w.gif)