短期戦
最近よく総悟の視線を感じる。
じーーーーーーーっ……。
「…なんだよ？」
「別に。」
この前からずっとこの調子だ。
何か企んでんじゃないかと思ったがそれはいつものことなのでどうしようもない。
度の過ぎた悪戯もいつも通り。違うのはただただ黙って見てくることだ。無視はしているものの……やはり気になるもので。
じーーーーーーーっ……。
「あの、総悟くんほんとマジやめてくんねぇかな。」
「何をですかぃ？」
「いやだから、そうやってじーって見てくんのをだよ。」
「はっ、自意識過剰ですねぃ。マヨのせいでついに頭までおかしくなっちまったんじゃねぇんですかぃ？」
こ、こいつ今鼻で笑いやがった…！
くっそ、無視だ無視！俺は大人だ十四郎、むきになるな。
じーーーーーっ……。
「…だぁあぁぁあぁああ!!!いい加減にしろ!!」
「…なにが？」
なにが？この期に及んでなにが？…だとぉ！？
「あのな総悟。何か言いたいことあんならちゃんと言えよ。」
「言いたいこと…。」
「そうだよ言いたいこと。」
「言いたいこと…ですかぃ？」
なんだよ、何でそんな真剣?いや、ねぇならわざわざ考えなくていいんだぞ？てかお前が言いたいことは大抵分かるし。
どうせまた副長の座を譲れとか死んでくれとかだろ？そんなんだったら言わないでほしい。何気傷ついてんだよ？我慢してるけど後半は結構きてんだよ？
泣くよ泣いちゃうよ?
そんなこと思っていると総悟がいきなり声を掛けてきた。
「土方さん、
あんたのことが好きです。」
・・・・・・・・は？
え？は？ちょっとまて、俺ほんとにしばらくマヨやめようかな。
今こいつなんて言った？好きです?誰が?
・・・・・俺が？？
「そんな顔しねぇでくだせぇよ。別に付き合ってほしいとか言わないんで。」
いやいやいや、そういう問題?
てかほんと待て。こいつは散々俺に副長の座（以下略）云々かんぬん言っといていきなり好きです？
だめだ、思考がついていかない。
「最近、あんたとヤってる夢見るしなんか無性に触りたいし…。」
軽いわいせつになるような発言をしてくる総悟は、腕を組んで考え込むような素振りをみせた。
「なんでかなーとか思ってたんですけどねぃ。
どうやら好きみたいでさぁ。」
…なんだそのどうやらって…。そんな今考え付きましたみたいなのでいいのか？そもそも俺男なんですけど・・・。
「んで、好きなんで。」
「そうか・・・。」
「なんでぃ、その返事。あんたはどうなんでぃ。」
いやどうって・・・。
総悟は弟みたいなもんだし、度の過ぎた悪戯はほんっっっとに！！嫌だけど！…好きか嫌いかと聞かれたら好きだし・・・でもそういう感情ではないと思うし・・・。
「それさ、俺が好きって答えたらどうなるんだ？」
「襲いますけど？」
・・・えええ！！？
そんな当然でしょ？見たいな顔で見てくんな！全然当然じゃないから！！お前今道を踏み外そうとしてるから！！
思わず眉間を押さえてしまった。
「あのな、総悟。俺は男だ。」
「へぃ、んなこた知ってまさぁ。」
「えー・・・と、だからだなぁ・・・。」
「へぃ。」
あーだめだ、馬鹿なこいつになんて説明したらいいんだろうか・・・。
総悟は相も変わらず俺をじーっと見ている。
やめろ、見んな。なんか恥ずかしいんだよコノヤロー。
俺がいつまでも考えていることに痺れを切らしたのか、総悟が詰め寄ってきた。
いやいやいや、こっち来んなって！何か恥ずいから！！！
「土方さん。」
「は、はいっ！？」
思わず声が裏返った。
「あんたに俺の気持ちが知られた以上は、否が応でもあんたを手に入れるんで。」
「は・・・？」
「全力で落としに行くんで、覚悟しなせぇ。」
最後にニヤリと綺麗な笑顔を残して、総悟は立ち去った。
あぁ、どうしよう。
この勝負？あっけないかもしれない。
土方さんはきっと最後の総悟の笑顔にやられたんだろうね。
がんば総悟！
ここまで読んでいただきありがとうございました。
