季節はずれのトナカイ










秋が来ましたねぃ。秋と言えば紅葉、みかん、眠いですよねぃ?少し肌寒くても「くらいめいと」が0°下回ったりしやせんよねぃ?もしそうだとしても俺の辞書にはしないもんだと書かれてるんでさぁ…!


なのに、なのに………。





な・に・こ・の・サ・ム・サ



「ぶぇっくしょいっ!!」

隣では鼻水をズズッと啜っている野郎がいる。



身体弱いくせに無理して…ただのアホでぃ。


「寒いですねぃ、どうにかしてくだせぇ土方さん。」
「無茶言うな…っくしゅっ」

…でもほんとさみぃな

そういってまた鼻を啜っている。
少し鼻の頭が紅くなってるのが可愛い。トナカイみたいだ。



「おい、総悟お前何してんだ。」

「え?」

「え?じゃねぇよ。手ぇ離せや。」

「なんでですかぃ?こうしたら暖かいでしょ?」

「!!!」

なんでそこで赤面??とか思いつつもそのまま黙り込んだので遠慮なしにつなぐ。
ちょうど人もいないし、なにより本当に寒いのだ。

今まで暑かったからか、それとも元々秋はこれほど寒かったのか。
冷たい風が二人の間を何度もすり抜けていった。

「へっくしゅっ!」

相変わらず隣には顔まで赤いトナカイがいる。


「寒いですねぃ。」

「そうだな、とっとと帰るか。」

「へぃ。」

帰る、という言葉に少し寂しさを覚えながらも、握る手に先程より力がこめられたのでそこだけは暖かかった。


「土方さん、ちょっとだけ遠回りしやせん?」



悪戯っぽく笑って見せると、「そうだな。」なんて言って、また顔の赤みが増していた。
あと、未だにつないだ手も、また先程より暖かくなっているような気がした。
















―次の日―……


「「ぶぇっくしょい!!!」」


「・・・仲良しだなーお前ら。」

「山崎・・・飲みもんくれ・・・。」

「はい分かりました、今お持ちしますね。」

「山崎ぃ・・・死ねよぉ・・・。」

「はい分かりました、ってええ!?沖田さんひどいですっ!」

「トシも総悟も、風邪治るまでゆっくり休みなさい。」

「・・・。」
「へーい。」



案の定風邪を引いた二人だった。















山崎は二人の世話係り的な存在だよね。
きっと二人は遠回りしてるうちにふざけ合いになって、寒い中ずっと追いかけっこみたいなんしてて、汗が冷えて風引いてそう・・・。





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