▼ 髪型
【真綾】
「久しぶり」
「……ま、こと?」
ひらひらっと手を振り変わらずのにやけ顔の真琴を見ては目を見開いた綾。
そう、今日の真琴はひとつ、何かがおかしかった。 いつもの色素の薄い灰色の髪の毛は鎖骨まであらず、うなじに掛かるかかからないかぐらいまでしかなかった。
ぽかんと見つめてれば、真琴は覗き込み「どう?短いのは」と笑いながらも告げる。
どうもこうも…
「かっこよすぎ…」
ぽつりとつぶやく綾はこのつぶやきが心の中で呟いたものだと思っていたも、つぶやきは口に出て、真琴に聞かれている。
「ふーん、かっこいいんだ?」
「ち、違うーー」
「嬉しいよ。綾から、そんなこと言ってもらえるならこのままでいようかな」
けらけらと陽気に笑う真琴に綾は肩をすくめた。変わらずの読めない言葉に薄く笑う。
短髪の真琴は前よりもかっこよく見えた。いつも髪の毛でかくれてる、耳も見えるし、うなじも、ほっぺも
「…真琴」
「なに?そんなに見惚れーー?!」
無意識に、真琴に綾は口づけていた。本当に、無意識に。
突然の綾の行動に真琴は言葉を失い目を見開いた。普段は真琴からしかしないのだからーー
「あ、これはちが…」
「へえ…」
変わらずににやにやする真琴に焦る綾。 真琴はたまにはイメチェンもいいかも知れないーー と綾のことをにやにやと見ながらも思った。
fin
余談
「おい、いつまでにやにやしてるんだよ(げしっ」
「いった!ーー…まあ、綾がさっきは可愛かったから、ついね?」
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