▼ もうそうのかたまり
「さむい」
「仕方ないだろ、冬なんだから」
加那は寒い、寒いばかりを繰り返しながら周りも見えない真っ暗な部屋の中で苒を抱き寄せては布団の中でなんどもごそごそと、動いたりを繰り返す。
さすがに、動きすぎだ、と思うもやっぱりそこは惚れた身なわけで全部はついついと加那を甘やかしてしまう。
「さむい、キスしよ」
「なんでだよ」
「さむいから」
加那は苒の上に伸し掛るように覆いかぶさっては、寒さで冷たくなっている苒の唇に自身の唇を重ねては、なんどか啄む様な口づけを落とした後に口の隙間から舌を捩じ込んだ。
まあ、寒いし、いいだろ。
苒も許してくれる、多分。と思いながら最初は舌をくっつけたりと幼稚な口付けだけを交わすも情が上がってくれば我慢なんてできるわけがない。
吸い付いたり、噛み付いたりと好き放題に苒の舌を弄んでは、口付け、愛げに目を細め彼のことを見つめた。
いつも無頓着そうに見て、こうたまに見せる表情がホント、くそたまんねぇ
ほんとにね、
「な、苒。俺もう無理」
「知ってる。いいよ、加那」
こうやって俺だけに見せてくれる表情が本当に堪らないし、どうしようもなくしてしまいたくなる。
「一緒に暖かくなろうか」
俺のわがまま、聞いてくれるのは苒、お前だけだよ。
fin.
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