▼ ジューンブライド2
「買うつもりはなかったけどさ、いや、あったんだけど…綾に嫌だって言われたら凹む」
仕事帰りにたまたま寄ったアクセサリーショップにあった少し安物だけど綾が気に入りそうなデザインのペアリングがあった。
つい、だ。買うつもりはなかった。けど、つい、買ってしまった
ペアなものが嫌いかもしれない、けど。
前に上げた時は嬉しがってた、用に見えたし。
ぐぬぬ、と指輪を見つめながら真琴はぶつぶつと呪文らしきものを唱えながらもいつ渡すか、なんて言おうか考えていた
断られてもいいように、心の準備だけは、しとくか。
「真琴、それなに?」
「は?」
「なにその指輪」
「いや、あの、その」
どどどどど、どうしよう!!!!
綾に見つかったし、指輪言ってるし!!!
俺、どうする
さっと隠しながらも真琴はアハハハと笑ってごまかすも目の前にいる綾は腕を組みながらものすごい顔で睨んでくる
これは、言い訳はできない、と真琴は悟った
でも、たとえ断られても
昔みたいにすぐ諦めて、いいよ…わかった、なんて言うつもりは毛ほどもない
「綾、きて」
「なに?」
綾の手を引いては抱き寄せながら小さく言葉をささやいた
ロマンチックのかけらもないけど
でも、これが俺らしいやり方かもしれない
「左手だして?」
「え?」
彼の薬指に嵌めては、やっぱりサイズは合ったと小さく笑い、安堵しながらも彼の額に自身の額をこつんとくっつけては小さくつぶやいた
「綾が俺のこと嫌いでも、もう好きじゃなくなっても、俺はずっと綾のこと好きだし、愛してる。だから、ずっと一緒に居てくれる?」
小さく笑いながらもみるみる顔を真っ赤にする綾に顔、赤いと言えば煩い!と顔を押された
答えはどうであっても、この先ずっと俺の答えは変わらない。
「綾、ずっと好きだよ。ジジイになっても一緒にいよう」
これが俺なりの最大の愛し方だよ
遠回りしたこともあったけど、きっとこの先お前以外好きになるやつはいねーよ
fin.
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