出会う
:人などに偶然出くわすこと
「もし本当に宇宙人だったら、円堂はどうした?」
「うーん」
夏の暑い帰路を2人で歩きながらアイスを食べていると緑川がそんな質問をした。
緑川はレーゼとして宇宙人を演じていた、それは演技だったのか疑わしいほど宇宙人らしかったので、再び「宇宙人です」と言われても特に驚くことはない。と思う。
「どうもないんじゃないか?多分、こうなってたと思うぞ」
シャクシャクとアイスをかじれば、緑川が首を傾げた。
「宇宙人だぞー!」
何を思ったのか、アイスを右手に持ったまま緑川が両手を広げた。迫力がない。髪形がソフトクリームじゃないからか?
「暑いからな」
ツッコミを入れずに空を見上げると、入道雲が出ていた。
「ツッコミ無し?」
「暑いからな」
むう、とむくれた緑川を横目に口からアイスの棒を取り出した。
「…夏って、UFOが多いんだろ?」
「うん?そうなの?あっ!」
宇宙人だと言っていた緑川は首を傾げてから、ハッとしたように賛同した。
「そうだよ!夏に多いよ!夏って暑いし!」
よく分からないが緑川宇宙人説はまだ続くらしい。
「じゃあ今夜、挨拶に行こうか」
「え?」
キョトンとする緑川に"アタリ"の文字をみせる。緑川は瞳を輝かせた
「すっげえ!あ、合宿所のやつらには内緒にして、2人で買いに行こうよ!」
「ああ、いいぜ」
「やったー!」
はしゃぐ緑川を眺めてから、入道雲を見上げた。緑川が宇宙人でもそうじゃなくても、俺は緑川に出会えたことを感謝するよ。