※成長




:来るのを望みながら時を過ごす。




『今、前行った喫茶店を通ってるよ、また行こうよ』


『そうだな後で行こうぜ、俺はペットショップ前、犬がめっちゃみてる』


『いいね犬、円堂くんは犬好き?』


『ああ!好きだぜ!小さいのもいいけど、でかいの飼うのが夢だったんだ』


『そういえば昔言っていたね。じゃあさ、飼おうよ。でっかい犬がはしゃいでも平気な家を建ててさ』


『はは、それ楽しそうでいいな!』


『うん、でもね円堂くん』


『うん?』


『僕は円堂くんと一緒なら、どんな事も楽しいと思うよ』


『ヒロ『あ、もうすぐで着くよ、靴屋の前だ』



電話越しに聞こえたヒロトの声は、落ち着いていたけど緊張している事が分かった。

俺は待ち合わせの場所へ歩きながら、ヒロトが平静を装いながら歩いている姿が想像できて、少し笑ってしまった。

『どうしたの、円堂くん?』

『何でもない、ちょっとおかしかっただけ!あ、今から交差点だ。もう直ぐで着く』

信号待ちの交差点はガヤガヤと騒がしく、少し声を大きくした


『もう少しだね、気を付けて渡るんだよ』

『子供じゃないんだからさ!』

はは、と笑えば信号が青になったので、一応確認してから渡る。

人混みに紛れ、横断歩道の白い部分を跳ねるように踏みながら、ヒロトとの待ち合わせ場所へ急いだ。



「円堂くん」

携帯から聞こえる声とは違い、クリアな声が聞こえ、横断歩道しかみていなかった顔を上げる

「え、」

そこに立っていたのはヒロトで、とても嬉しそうな表情をしている。

「僕と一緒に暮らしてくれませんか?」

交差点を行き交う人で賑わうのに、ヒロトの声だけはハッキリと聞こえた

「え、ヒロ、ええ?」

横断歩道の真ん中で、ヒロトは笑う、次第に言われた事を理解して、顔が熱くなるのを感じた。

理解した途端、口をパクパクさせる事しか出来なくなった俺をみて、ヒロトを手を伸ばした

「信号が変わるね、行こうか」

自分からは手を握らない、ヒロトの表情も嬉しそうな中に不安が混じっているのが分かる

「…ああ、行こうぜ!」


ヒロトの白い腕を握り、2人で横断歩道を引き返した。

最初は控えめに握っていたが、渡り終わる頃には強すぎるほどにお互いに手を繋いでいた。


待つことは幸せなこと、君はやって来たから、今度は僕たちが迎えに行こうか




―――
不完全燃焼乙/(^O^)\



 
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