:
あれこれと思い苦しむこと




『……馬鹿者、それは――』


風介が言った言葉が理解出来なかった、自分は周りの連中と違うと思っていたし、そんな仲間になりたくないと思っていた。

まさか、まさか自分が円堂守に、好意を持つなんて。

『ば、馬鹿はお前だろ!何で俺があいつを好きになるんだよ!!』

ドリンクボトルを握れば、少し出てきて腕に伝った

『…認めないならそうすればいい、私は貴様の相談を聞いてやったんだ。否定される覚えはない』

眉を潜めた風介は淡々と言い放ち、グランドをみた。

視線の先は追わずとも分かる、俺だってやつの位置は把握しているからだ。

『……貴様が好意がないのなら、私には好都合だ』

ハッとして風介の顔をみると、不敵な笑みを浮かべていた

好意がないのなら、別に円堂が風介と付き合っても好き合おうとも関係ないはずだ。

『…、勝手にすりゃいいだろ』

ボトルを置いてグランドに戻れば、風介はわざとらしく溜め息をついた。


『(俺は、)』

ずきずきする心臓を掴むと、シュート練習に付き合っている円堂の声が聞こえた。

『いいシュートだっ!!』

その言葉を聞きたくて、必死に練習した。

なぜってそりゃ…、負けず嫌いだからだろ、負けたくねぇから…、

『いい調子だ!吹雪!』

『よし!いいぞ豪炎寺!』

『虎丸もナイスシュートだ!』

……、いや、ない。一瞬頭を過った事を取り消し、俺は頭を振った。

名前を呼ばれたかったいから、……ない。ないない。

ぶんぶんと頭を振ってグランドに戻る、馬鹿か、そんなのあるわけねぇ



『風介!すごいシュートだな!』

先にグランドへ戻っていた風介がシュートを決めたらしく、円堂の声が俺の耳に入った。

やつは円堂に柔かい笑み(鳥肌がたつ)を浮かべた後、こちらをみて鼻で笑った

イライラする、のは。

どくどくと心拍数を上げる心臓をユニフォームの上から握り潰し、苦しい息を整えた。


【馬鹿者、それは―――】

風介の声がリピートし、まるで洗脳されているかのように脳内に響く

ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる、


『南雲!お前もシュート打つか!?』

円堂の声で我に返り、未だうるさい心臓が別の鼓動を高めた。


【それは、恋だ】


自分の心で数回唱えると、驚く程すんなりと飲み込めた。

『南雲?』

少し遠くで不審げに首を傾げる円堂

心臓の音はまだうるさいが、それでもさっきまでの塊は取れた。

『……ああ!決めてやるよ!』

緑の芝を踏み込むと、円堂が少し笑った。


((なあ、円堂の近くにいるとすげぇ心臓が痛いんだけど))




――――
gdgd\(^O^)/



 
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