サンド企画



「円堂さん!いまからシュート練習に付き合ってもらえませんか!」

立向居はサッカーボールを持って円堂に声を掛けた。いつもなら眩しい笑顔で頷く円堂なのだが、今日は少しだけ眉を下げて立向居の頼みを断った。

「ごめんな立向居、今日は先にシュート練習に付き合う事になってるんだ」

申し訳なさげに眉を下げる円堂の横から、ひょっこりと第三者が顔を覗かせた。

「そういうことなんで!キャプテンは貰っていきますねー」

にやりと悪戯っ子のような笑みを浮かべたのは最近スカウトされた成神であった。円堂の脇腹を掴んで、端からみると抱き付くような形の成神に立向居は分かり易く表情をムッとさせる。

「じ、じゃあ円堂さんのキーパー技を見学させて下さいっ!」

「ああ、それなら「嫌っス、集中してキャプテンと2人っきりで練習したいです!」

許可を出そうとした円堂に空かさず成神が反対する。わざとらしく頬を膨らませて不服アピールする成神と笑顔が引きつる立向居の間で、バチバチっと火花が散った。

円堂はそんな2人に気付かずにどうしたものかと頭を悩ませる。

「休憩はキーパー技の練習なんです!」

「立向居さんが勝手に思ってただけでしょ?今日は俺とシュート練習するんスよ!」

「円堂さんは優しかがら断れんけんだけたい!!」

「はァ?何語っスかね?」

グローブを力いっぱい握りながら顔を真っ赤にして叫ぶ立向居は、生まれた博多の方言になってしまった。本人は夢中で気付いていないようだが、成神と円堂は立向居を驚きの瞳でみる。

「新入りは黙っちボール拾いばってんしてからいればよかんとよ!」

「新入りは新入りだけど、ボール拾いする暇があるなら力を上げるべきじゃないの?」

「――〜っ!」

2人の火花がバチバチとヒートアップし、滅多に食いかからない立向居に円堂はただ驚く。


そんな円堂の肩を叩く影が1人。その影は無邪気な笑みを浮かべてある提案をする。


「おーい成神、立向居!」

「「はい!?」」

言い合いをしていた2人が円堂をみると、その隣には新たに虎丸が立っていた。

「悪い!虎丸が新必殺技を完成させたらしいから、みてくるな!2人は明日ちゃんと練習に付き合うから、今日は2人で練習してくれよ!」

「えっ、円堂さん!?」
「えー!キャプテーン!」

眉を下げる2人をよそに円堂はゴールへ駆け出した。虎丸はその背中をみてから、成神と立向居に一礼をして、笑顔のまま言い放った。

「じゃ、キャプテンは貰っていきますね!」

小悪魔のような表情の虎丸に、成神と立向居はわなわなと身体を震わせて叫んだ。


「「やられた!」」


叫びはグランドに響いたが、円堂は成神と立向居の仲が良いと思い込んでいる為、表情を柔らかくさせた。



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成神と博多弁わからん
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