カニバ
サンドし損ねた



食べるという行為は人間が生きていく上で必要なものだ。

「睡眠と性欲もね」


フォークでサラダを突き刺した吹雪くんが義務的に口を出した。ドレッシングがしたたるレタスを顔に似合わない大口で食べ、咀嚼する。

「確かにその2つも大切だけど、そっちは自分でどうにかなるでしょ?食欲は他者・自分意外のものが必要なんだよ」

「基山くん昨日も自家発電だったの?顔はいいんだからさ、女の子でも部屋に呼べばいいのに」

雪原の皇子という名称は誰が名付けたのか、吹雪くんは取り巻きがいないと変貌する。あと、円堂くんの前でもだ

「僕は円堂くんでいいからさ。裸の女が狙ったようなアングルで流し目をしてる画像なんかより、僕は円堂くんの盗撮、欲を言えば円堂くんの私物さえあれば死ぬまで自家発電できるよ。…そうじゃなくて。食べたい欲を満たすには自分意外のだれか・なにかを食べなきゃいけない、なにかを犠牲にしてまで生き物は自分を生かす。だから食欲は一番必要だと思うんだ」

「そう」

お行儀悪くフォークの先をガジガジと噛んで頬杖をつく彼は、もう会話に飽きたようだ。写真に撮って円堂くんにみせてやりたい

「…性欲は円堂くんでまかなえる、睡眠は円堂くんの夢でまかなえる、出ない日もあるけど。だから食欲も円堂くんで満たしたい。」

「確かにキャプテンはおいしそうだね。ほっぺたとか、スパッツが食い込む太腿とか、きっと柔らかいんだろうなあ」

舌をフォークで押す吹雪くんが、僕のプレートをみた。まだまだ残っている朝食のプレートを吹雪くんが凝視する


「それ、」

ぎら、と鈍く光る吹雪くんの瞳に僕は小さく笑う。フォークで甘く刺してそれを口に運べば、おいしさで満たされる幸せを感じる。



「吹雪くん正解、柔らかくてすごく美味しいよ」


吹雪くんのフォークが伸びた。




 
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