朝方、目が覚めた僕はキャラバンの窓から外をみた。

まだ薄暗い、僕は視線を変える、すると、歪なユキウサギがこちらをみていた

『……?』

誰が作ったのか、奥に転々と続いている。

ゆっくりと上体を起こして、キャラバンを見渡す。

いつも先頭に座っているキャプテンの姿がない。

『(キャプテン、?)』

自分が被っていた毛布を肩に被り、僕はキャラバンを抜け出した。

びゅおお、と身を裂くような冷たい風が吹き付けた。

キャプテンの毛布は置いてあった、という事は、キャプテンはこの雪原の中ジャージ1枚でいるのだろう

サクサクと雪を踏み締めながら歩くと、道しるべのように転々と不恰好な兎があった。

毛布を被っていても、この寒さじゃ意味がない。

『(キャプテン、霜焼けになってなきゃいいけど)』

『(見つけたら直ぐに暖めてあげなきゃな、あ)』

はぁ、と息を吐けば真っ白い煙が昇った。

ユキウサギは続いて、小さな林に入った。

『(こんな雪の中、山に入ったら危ないのに…)』

僕はそれでもユキウサギに着いていった、ねぇ、早くキャプテンの所に連れて行って

林の中は本当に静かで、キャプテンが消えてしまったのではないかと思った


しかし、それは杞憂だった。

『キャプテン?』

湖畔の大木に寄り掛かって眠っているキャプテンがいた

薄着のまま、絵本のイチページのように幻想的だ

『キャプテン、』

ユキウサギは間隔が狭くなっていて、キャプテンの周りを囲んでいた。

『キャプテン、起きて、凍死しちゃうよ』

『…吹雪?』

『うん』

薄く瞼を持ち上げたキャプテンは、僕を確認するとまた瞼を降ろした

『もう少し』
『…うん、でももうすぐ朝になるよ』

僕はキャプテンの隣に腰掛け、毛布を2人で羽織った

『…どうして分かったんだ?』

『キャプテンのウサギが案内してくれたんだよ、"早く迎えに来て"って言われたからさ』

『そっか、じゃあ早く帰らないとな』

キャプテンはゆっくり微笑んだあと、また瞼を閉じた

『ごめん、眠い』
『うん、』

僕はキャプテンを背負って、その上から毛布を被せる、そして、滑らないようにゆっくり歩き始める。

キャプテンは背中で静かに寝息を立てていたから、僕は小さな声でユキウサギに話し掛けた

『キャラバンまで頼むよ』

ユキウサギはまた転々と目印になって僕とキャプテンの周りを跳ねた。





(道案内)
2011.1/6



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