らんまパロ



円堂守は男だ。男のはずなんだ。ゴールキーパーをしているし、制服だって男子用だ。

だが、いま目の前にいる円堂はとても男の身体ではない。俺にはない膨らみや足や太股など身体の曲線が語る。

『……。』

替えのユニフォームを静かに上下着た円堂はゆっくりとこちらを見据えた。

『…源田、』

『え、円堂、おまえ『お願いだ!!風丸にだけは言わないでくれっ!!!』

"女だったのか"という質問は円堂によってかき消された。

伸びた髪と胸と上目遣いの円堂だけど円堂じゃない人物に見つめられ、張り詰めた空気がどこかへ消えてしまった。

『お願いだ!風丸は怒るとすげぇ怖いんだ!!!鬼なんだ!』

『…わ、分かった、分かったよ円堂。風丸には言わない、約束する』

必死の形相で詰め寄る円堂を落ち着かせると、円堂は良かったあ…と胸を撫で下ろした。

『…言わないが、どういう事か説明してくれないか?』

『…だよな』

長い髪を鬱陶しそうに掴んだ円堂は、少し苦笑いをして話した。

小さい頃修行をしていて"水を被ると女になる湖"に落ち、こんな身体になったこと。風丸は幼馴染みで事情を知っていること。

『まあ、女になる以外は困った事ないし、お湯被れば戻るからな!』

にかっ、と笑みを浮かべた円堂は身体は女だが、変わらなかった。俺の大好きな笑顔だ。

俺より小さい頭を撫でると円堂は不思議そうな顔をした

『?どうした』

『約束は守る。だが、俺にも円堂を守らせてくれ』

自分から出た言葉に驚いたが俺は円堂の頭を少し強く撫でると手を離した。

『守るって?』

『円堂の体質の事が周りにばれないよう、俺も風丸のようになるということだ。協力者は多い方がいいだろう』

そう言ってやれば円堂はキラキラした瞳を輝かせた。

『ありがとう源田!頼りにしてるぜっ!』

『任せろ。まずは湯を持ってくるから、鍵を閉めて待っていろ』

『ああ!源田は優しいな、本当にありがとう』

円堂の感謝を背中に聞きながら俺は給湯室へ向かった。

『…優しい、か』

先ほどの純粋な円堂の表情を思い浮かべながら、自分の心臓に手を当てた。

親切だと言われる事は多いが、それを踏まえても円堂は放っておけない

『…?』

やけに高鳴る心臓を宥めながらお湯を待つ円堂の為に足を早めた。




(無自覚恋心)
2011.11/03

らんまパロをもっとやって良いとの声を頂いて調子に乗りました。

 
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