『キャプテンは何色が好きですか?』
特訓が終わり、宿舎に帰ろうとすると、音無がサッカー部員内の人気色を決めるアンケートを聞きに来た。
『色かあ、』
特に考えた声はない、ここはバンダナのオレンジにしよう、と口を開いたら、肩に重みが掛かった
『緑だよね!』
声と共に視界に映ったのは鮮やかな緑、その名の通り、緑川がいた。
『緑川は緑が好きなのか?』
『俺は茶色が好き、緑は円堂が緑好きなら嬉しいと思ったからさ』
緑川はニコニコ笑った、音無は緑川が好きな色を紙に記入ていした。
『だから円堂、緑好きになっ『それは強制だろ』
流されて緑に入れようとすると、今度は右側を掴まれた
『風丸』
『アンケートなんだから、ちゃんと答えなきゃ駄目だろ、円堂』
青い髪を靡かせた風丸は、やはりしっかり者だった
『うーん、そう言われてもなぁ』
好きな色を答えろと急に言われると、困るのだ。
『だから、俺と一緒の色にしようよ。緑は嫌い?』
『いや、嫌いじゃないぜ』
元々黒目がでかい緑川の瞳がキラキラと光って、緑でいいや、と思ったのがバレたのか、風丸の方から威圧感を感じた
『円堂、小さい頃から好きな色は水色って言ってただろ』
『あ』
そうだ、プロフィールとか色々と、俺は青色と書いていた気がする
風丸の髪が綺麗で羨ましくて、小さい頃は自分の茶色の髪を恨んだ記憶もある
『風丸は何て書いたんだ?』
『茶色、だ。』
風丸が柔かく笑った、茶色の髪が嫌だと言った時、風丸は"俺は茶色が好きだよ"と慰めてくれたが、それは嘘ではなかったらしい。
『風丸のそれも強制じゃないか』
『長い付き合いの幼馴染みが思い出させてやっただけだ』
音無は聞き出せないと理解したらしく、"決まったら教えて下さいね"と残して去って行った。
好きな色を決めるのがこんなに大変な事だとは思いもしなかった。
『円堂が好きなのは青だ』
『昔の話だろ』
自分を挟んで議論する緑川と風丸
どちらも長く、綺麗な髪の色をしている。
『俺、緑川の緑も風丸の青も好きだ』
『『えっ』』
緑川て風丸がこちらを見ているのが分かった。
緑も青も綺麗だし、ヒロトと南雲の赤も、綱海と染岡のピンクも、吹雪と風介の色素の薄い髪も、全部綺麗で好きだ
『俺、音無に緑も青も全部、虹色って言って来るな!』
俺は走り出した、あの綺麗な髪をした2人が茶色が好きだと言っていたからか、風に泳ぐ自分の茶色が少し好きになれた。
『……やっぱり円堂は一枚上手か、前途多難だな』
『…これが昔からだぞ』
円堂が去った後、自分の事を好きだと言われたわけじゃないのだが、心臓を押さえる2人の姿があった。
(色イロ色々何のイロ?)
2011.3/18
緑川の口調がわからないよ