愛と心中

君が、君の大きな手が、
僕を、僕の小さな手を、
とても大切そうに握る。
伝わる低めの体温に、
涙が出ちゃいそうだよ。
君にはどんな体温が、
伝わっているのかな?

不器用にも僕を愛してくれる。
不器用にも君を愛してみる。
いつの間にか不器用同士だね。
ああ、なんだかこそばゆいな。

君が、君の鋭い瞳が、
僕を、僕の弱い瞳を、
とても大切そうに見る。
潜んだ強い獣に、
心臓が跳ねちゃうよ。
君の今晩のディナーは、
僕だって、思っていいの?

愛してる、愛してる、愛してる。
ねぇ、誰にも渡したくないよ。
だからね、僕に殺されてよ。
隠してたナイフを握って、
君の背中に突き立てた。

君が、君の大きな手が、
僕を、僕の小さな手を、
とても弱々しく握る。
伝わる下がっていく体温に、
嬉しさと悲しさが綯い交ぜに、
涙と一緒に零れてく。

君が、君の鋭かった目が、
僕を、僕の微笑む目を、
とても虚ろに映して閉じる。
止まった心拍に酷く安心して、
僕もすぐに逝くからねって、
君を殺したナイフで。



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20130201


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