残星は溶ける

夜の輝きを

何も無かったかのように

赤鴉にゆらゆらと

ただ溶けていくのだ

それはまさしく私のようで

私もいつの日か

地に水に溶けるのだろうと

青く澄んだ空にきえていく

鶺鴒を眺めながら

私は思った

だが残星は生命のように

儚いものではない

夕照ののち夜が訪れれば

再び暗闇に星河となり輝く

星雨は死に値するのだろうか

もしそうであるならば

生は死の始め

などとよく語ったものだ

有機物であろうと

無機物であろうと

全てのものには

生まれてから

遅かれ早かれ

死が約束されている

愉快で堪らない

それが本当ならば

私が今生きている世界にすら

死が存在するのだから

本当に愉快で堪らなかった

笑っているはずなのに

いつのまにか

両の目から雫が落ちていた

思い通りにならない世界

本当に……愉快だ



.


[ 4/71 ]

[]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -