小鳥と樹
君の翼は夢が沢山詰まった大きな翼。
それこそ何処へでも飛んでいけそうなくらいに。
君がその気になったらきっと。
きっと私を置いていくんだろうね。
飛び立つ君の背を見て、私は静かに泣いていた。
どんなに手を伸ばしてもぼやけて遠ざかっていく。
私は止まり木でしかないの。
この世界に沢山ある止まり木の一つでしかないの。
ねぇ、
また君がやって来た。花を携えて。
ご機嫌とりで笑っているの?
どうせまた私を置いていくんでしょ?
何回繰り返したかな。
何回君は笑って、何回私は泣いたかな。
何回、何十回、何百回繰り返しても報われないのなら、いっそ此処で終わりにしよう。
飛び立つ君の背を見て、私は静かに泣いていた。
どんなに手を伸ばしてもぼやけて遠ざかっていく。
私は止まり木でしかないの。
この世界に沢山ある止まり木の一つでしかないの。
ねぇ、賭けをしよう。
次に君が来たときに、いつもと同じように笑って去っていくのなら、もう諦めよう。
叶わない夢だったんだって諦めよう。
そして笑って君を見送って、枯れてしまおう。
夢の残骸と一緒に。
さぁ、賭けの時間。
背中に根を絶つための鉈を隠した。
君はいつも通り笑ってる。
どっちに転んでも、もう一回はない。
君の答えを聞かせてよ。
「 」
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
恋なんてしなければよかった!
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