涙と痛み



泣いたら痛みが無くなるか
答えは多分ノーで
きっと痛みが無くなるのではなく
痛みがあったことを
涙に乗せて流すことで
忘れているだけなのだ
だから痛みがあったことを思い出せば
痛みはぶり返してまた痛む
そしてまた痛みを流しては忘れ
思い出しては痛むを繰り返す
醜くも美しい悪循環

「  」

君の名前も
涙に乗せて忘れてしまったのか
口は君の名前を辿るのに
声がそれを追うことはなかった
あまりにも痛くて死んでしまいそう
痛い、痛いと叫んでは
忘れるために泣いた
けどどれだけ涙を流しても
痛みを忘れることはできなくて
ついには涙も枯れてしまった

"忘れる"のではなく
元から"無くなれ"ば
こんな痛みも感じなくて済んだのに

部屋の隅
膝を抱えて踞って
自分を嘲るように笑って
眠った


「 、起きて、 」


呼び掛ける声に
重い瞼を上げる
ああ、幸せだな……なんて
泣き腫らした目で
未来をみた、気がした


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20120308


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