「僕 ←|→ 君」
鏡を覗けば君がいる。
僕と同じ君。
僕と違う君。
僕が笑えば、君が泣いて。
僕が怒れば、君が悲しんで。
こんなにも同じようで、
こんなにも違うんだ。
僕が笑って君が笑う。
そんな日は一生来ないのかな?
鏡を覗けば君がいる。
僕と同じ君。
僕と違う君。
僕が泣けば、君が笑って。
僕が悲しめば、君が怒って。
こんなにも同じようで、
こんなにも違うんだ。
「ねぇ、僕は君に笑ってほしい。
笑ってほしいよ。
どうやったら笑ってくれる?」
君に聞いてみる。
そうしたら、君は
大層嬉しそうに、
そして、
大層悲しそうに、
口を開く。
「 君が心から笑えば、僕も笑うよ。
君が心から怒れば、僕も怒るよ。
君が心から泣けば、僕も泣くよ。
君が心から悲しめば、僕も悲しむよ」
君は泣いていた。
僕も泣いていた。
僕みたいな君。
君みたいな僕。
僕は君で、君は僕。
「もう無理しなくていいよ。
もう無理しないでよ 」
泣きながら笑った。
今までの僕たちが、
あまりにもおかしくて。
こんなにも簡単で、
こんなにも難しい。
「僕 ←|→ 君」
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