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痛い。

痛い。

痛い。

何故、こんなにも痛いのだ。
背にする扉は身体の熱を、残酷にも奪いさり空中へと四散させて行く。
固まりつつある右手を動かして、首を撫でると、ぬめりと指に何かが纏わりついた。それを目の前に持ってきて、指を眺めれば纏わりついていたそれは、血だった。

「……――、―……―」

声は掠れて音にすらならなかった。
もう死ぬのだと、冷静な脳が判断した。ならば死ぬのだろう。
未練は、一切無い。
何故ならば、やっと貴様の下に行けるのだ。これほど喜ばしいことはあるまい。
痛みすら、甘んじて受け入れよう。

今まで浮かんだことのない(我輩には一番似合わないであろう)笑顔が自然と浮かぶ。
頬に生暖かいものが伝う。
自身を襲った痛みにか、貴様の下へ行ける喜びにか。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


貴様はいつも通り笑うだろうか。
それとも泣いてしまうだろうか。

早く、眠ってしまおう。


20110919


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