紅く染まるカーテンに



 

―――いつか、いつかこんな日が来るんじゃないかって、ずっと思ってたんだ。


僕の右手には拳銃が。
銃口を向ける先には彼が。
僕が引き金を引けば、
詰められた弾丸が、
彼を貫くというのに。
何で彼は笑っている?
「死」すらも許容して。

「ほら、早く」

あぁ、そんな事を言わないで。
僕が愛してしまった
(愛してはいけなかったのに)
その声で残酷な事を言わないで。

「撃てと、言っている」

拳銃を握る手は、
時間が経つ程に
震えを増して。
零れ落ちる涙と、
荒くなる呼吸を、
どうすればいい?

「や……だ」

「我儘は聞かん。撃て」

紅の瞳が細められた。
拳銃なんて、
投げ出してしまいたい。



‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐


彼を殺すくらいなら、
僕を殺してしまいたい。


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