守るものを守れるだけ強くなれ 03


「奨!!」


 円が気付き、声をあげる。それに反応して神楽が振り向くが、間に合わない。


「ちっ」


 奨は誰にも聞こえないような舌打ちをした。そして敵の刀を転がり避けて、先程神楽が倒した敵が飛ばした刀を瞬時に拾う。さらに流れるような動きで、隙のできた敵を、腹から切り裂いた。



「奨……」


 血のついた刀を地面に無造作に落とすと、円が口をぽかんと開けて呆気にとられているのが見えた。


「だ、大丈夫っ?」

「はい。円こそ、怪我は?」


 奨は頬についた返り血を、手の甲で拭いながら聞いた。


「げ、元気だよ……まだ心臓バクバクしてるけど」


 周りの敵はもう皆倒れていた。銀時が木刀を腰に収める。


「……君、お兄ちゃんより剣の腕がたつんじゃないの」

「あはは、まさか。俺はただの趣味程度ですよ」


 銀時の言葉に、苦笑いで返す奨。勿論趣味程度でないし、そのことは銀時にもお見通しだろうと奨は理解していた。


「……へぇ。まぁとりあえずここはずらかるほうが良さそうだな。話は帰ってからだ」


 銀時は周りに伏している浪士達を見回した。こんな状況を誰かに見られたら面倒臭いことになるのは明らかだ。
 一同は頷いて、倒れている浪士を避けながら――神楽は何の躊躇いもなく踏んづけていたが――そこを後にした。


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