守るものを守れるだけ強くなれ 02


 怯える円の背後から、浪士の手が伸びる。反応しきれない円に、浪士がにやりと笑った。


「円に触るんじゃないネ!!」

「いででででで!!」

 しかしその手は円を捕える前に、神楽によって捻られて鈍い音をたてた。神楽は片手しか使っていないというのに、その痛みは腕が引きちぎれてしまいそうなくらいだった。


「くっ!」


 苦し紛れに出した刀も、神楽の一蹴りで飛んでいく。さらにとどめとばかりに浪士の腹に渾身の蹴りを入れれば、浪士は地面に崩れ落ちる。
 この間は、わずか数秒もなかった。

 浪士の叫び声に反応して振り返った円には、何が起きたのか良く分からなかった。


「す、すごい……」


 ただ分かったのは、自分と同年代の少女が、大の男をいとも簡単にねじ伏せたということだけだった。





「……やっぱり」


 そのすぐ側で、奨は確信めいたように呟いた。

 この彼女の強さ。
 人間の女ではあり得ない。

 やはり彼女は、最強最悪の傭兵部族と謳われている戦闘民族『夜兎』で相違ないだろう。
 鬼兵隊で雑務をしていたとき、春雨には人間では全く相手にならないほど強い夜兎族が居ると聞いた。最強の武器となる夜兎族。無論多くの組織が欲しがっている。そんな夜兎族の子供がこんなところに居るとは誰が思うだろうか。銀時にはやはり何か秘密があるのだろうか。




「『文書』を寄越せぇ!!」


 奨が思案に耽っていると、銀時や新八が倒した浪士の一人が立ち上がり、丸腰の奨に斬りかかってきた。

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