守るものを守れるだけ強くなれ 01
銀時が不敵な笑みを浮かべる。その余裕な態度に、敵達は本能的に危険を感じ顔を強張らせる。
しかしそうは言っても、状況は多勢に無勢だ。
「怯むな! かかれ!」
ある敵のかけ声が聞こえると、浪士達は一斉に斬りかかってきた。
同時に――否、それよりも速く、銀時は動き出した。
「チッ 何だかメンドクセーことに巻き込まれてる気がするぜ!」
銀時が刀を振るう。それは決して綺麗な型にはまった動きではなく粗雑なもののはずだが、一連の動きには思わず目を奪われるほど絵になっていた。銀時のかすり傷一つ負わせることも出来ず、浪士達はばたばたと倒れる。
「はい、次ィィ!!」
そう言いながら、銀時は順調に浪士達を薙ぎ倒していく。
「円、大丈夫アルよ」
大勢の浪士達が斬りかかってきた恐怖で身を縮こませている円に、神楽の優しい声が響く。
円が顔を上げると、そこには目にも止まらぬ速さで浪士達を戦闘不能にしていく銀時の姿があった。
素人目にも分かる。
この人は、強い――。
「くそっ、うじゃうじゃ来やがって」
銀時は軽く悪態をついて、手の甲で汗を拭った。その隙をついて、左右から浪士達が襲いかかる。
「おらっ!」
それを、一歩下がり刀を一振りすることで倒す銀時。しかしそこで銀時の背後に控えていた浪士が刀を振り上げる。
「よそ見しないで下さいよ、銀さん!」
しかし助太刀に入った新八によって、浪士は刀を振り下ろすことなく地面に崩れ落ちた。
「よそ見なんかしてねーよっ」
そう言い返し、銀時もまた新八に襲いかかった浪士を斬り倒す。
「くそっ……」
残っている浪士達は、状況を察して銀時から距離を取る。自分たちではこの男に適わないと悟り始めた浪士達の標的は、自ずと無防備で弱そうな円や奨に向いた。
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