言葉じゃ伝えられない心がある 04
奨と円の宿泊先も決まったところで、近藤は万事屋一同に帰宅を促した。
「じきに日が暮れる。歌舞伎町の夜は一層物騒だからな……まぁお前らが居ればそういった心配は無さそうだが」
近藤は銀時達に目線を向けつつ言った。
「物騒と言ってもこんな大人数ですから大丈夫ですよー」
円が呑気に口を開けて笑いながら言った――――
――それが、数分前の会話だった。
「大人しくしてもらおう」
奨の喉元に、冷たい感触が走る。同時に頭上からも冷たい声が降ってきた。
「きゃー!! す、奨!」
隣に居た円が、悲鳴をあげる。思わず後退りふらついた体を、銀時が左腕で受け止めた。
「あらぁー珍しくゴリラの言う通りだったな。つーかあいつら仕事しろよな」
「銀さん! んなこと言ってる場合じゃないですよ!」
新八が声に焦りを湛えて言う。
「まぁまぁ落ち着きなさいよ」
逆に全く焦りの感じられない様子のの銀時に、円は何か言おうとしたが――奨のほうを見て動作を止めた。
「大人しくするのはお前のほうアル」
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