言葉じゃ伝えられない心がある 03







「おー、奨君! おかえり」


 部屋へ戻ってきた奨に気付き、近藤が声を上げる。奨は小さくお礼を返し、円の隣に腰を下ろした。



「あ、あの……万屋さん」


 奨が銀時に声をかける。銀時は気だるそうに目線だけを奨に向けた。


「ご迷惑かもしれないですが、円と一緒に俺もそちらに泊めてほしいのですが……」


「え? まじで? 布団ねーよ」

「大丈夫ですよ銀さん、布団ならお登勢さんから借りれます」

「仕方ねぇな〜。依頼金は貰うからな」


 銀時は面倒くさそうに奨の申し出を承諾した。奨は自分の兄に、意味深な目線を向ける。


「…………奨? その目は何を訴えてるのかな?」


 山崎が頬を引きつらせて奨に問う。


「勿論分かりますよね?」

 奨が笑顔で言う。


「勿論分かりますよね?」

 円も笑顔で言う。



「「お・か・ね」」


 二人の声が合わさった。


「こいつらどっかで打ち合わせでもしてきたのか!? もーいいよ、分かったよ、俺が新しいラケット買うの我慢すればいーんだろー!」


 山崎の悲痛な叫びが屯所内に響いた。


43/61
prevnext


  back


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -