廁とは絶好の秘密の隠し場所だ 04


「やれやれだぜ」

 騒がしい真選組の重役達を見て、肩をすくめて溜め息をつく銀時。

「銀ちゃん! そのセリフは中の人のキャラアル」

「いや、神楽ちゃん。そういう話はタブーだからね」


 何だかんだで真選組と同じくらい騒がしい万事屋を、公園で遊ぶ子供たちを見守る母親のような目で眺めていた円が、思い出したように口を開いた。


「そうだ。私、この万事屋さんのところに暫くお世話になるけど奨はどうするの?」

「え?」


 唐突に始まった話に、奨は思わず聞き返した。


「奨だって少なくとも今日は江戸に泊まらなきゃいけないでしょう?」

「まぁ、そうしたほうがいいですが……というか、この人たちは万屋をなさっているんですか」

「え、君 今まで俺達のこと何者だと思ってたの」


 奨の意外そうな声に、銀時が少し呆れたような声色で口を挟む。


「えっと……真選組の人のご友人?」

「まさか」

「それは絶対ないアル」


 奨が頭を捻り出した答えに、銀時と神楽は即座に否定した。

 正直、奨もそうは思っていなかった。
 最初は真選組に入っているのかと思ったが、隊服を着ていないし、腰にあるのも木刀だ。しかしその辺に居るようなチンピラには思えなかった。
 また、隣で酢昆布を噛っている少女も謎だった。あの白い肌と傘は、宇宙最強の戦闘種族の一つ、夜兎族の特徴と一致するのだ。
 考えれば考えるほどどういう集団なのか分からなかったそれが、まさかただの万屋だったとは、奨は拍子抜けした気持ちだった。

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