廁とは絶好の秘密の隠し場所だ 01









「いやぁ、大事に至らなくて本当に良かった! なぁ総悟?」


「そうですかね、鬼の副長さんから一時間の説教を受けた時点でもう大事に至ってると思いやすが」

 沖田が冷めた口調でそう言うのも、あながち間違いではない。








 奨を連れた一行が屯所へ戻ると、いつも以上に眉間に皺の寄っている土方が仁王立ちしていたのだ。


『……弟くん、あの人にどんな酷いことを言われてももうバカなこと考えちゃダメだよ』


 鬼の副長の様子を見て、銀時が奨に忠告する。すると土方の瞳孔の開いた目が奨へ向いた。


『てめぇか』


 土方は鋭い瞳で、奨を穴が開きそうなほど睨み付けた。奨はその刺さるような目線に少し身を引きながら、覚悟を決めたように頷いた。


『山崎ィ、こいつ借りるぞ』

『はっ、はい!』


 土方の威圧に、山崎は二つ返事で弟を鬼に引き渡してしまった。


『さっさと来い』


 静かな口調が逆に一同の恐怖を引き立てていた。








「がははは! まぁトシは自分で命を絶とうとする奴は許せねぇって言ってたしな!」

「そう言ってた奴はあいつ引きつれて拷問部屋に行きやしたけど、無駄に命絶たすつもりじゃないんですかィ?」


 拷問部屋という単語を聞き、同じ部屋で寛いでいた銀時達はぴたりと動きを止めた。


「……ちゃんと生きてるんですか、奨さん」


 新八が皆の思っていることを代弁するように聞いた。


「そう心配せんでも、別に拷問してるわけじゃないからな! ――あ、ほら帰ってきたぞ」


 円の顔が青くなった矢先、襖から奨が顔を出した。


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