ざあざあと雨の音がうるさいですね。もうざあざあを通り越してどうどうと言っていいほどひどい雨ですが、とにかくうるさいです。

けれども、別に雨の日が嫌いというわけではありません。傘という荷物が増えて面倒ですし、靴の中がぐちゃぐちゃになるのは勘弁したいですけど、雨粒から身を防げる家の中であれば、しとしと降る雨音を聞きながらの読書というのもなかなか乙なものなんです。

部屋を薄暗くして、窓の外に時折光る雷の筋を見つめるのも楽しいですし、それになにより雨がなければ植物は成長できません。もちろん雨が上がった後に出る虹も楽しみのひとつですね。

というわけで、雨の日もそう悪くはないと思いますよ。まあ流石に今日は、少しうるさいですが。


「で、火神君。君は何をやってるんですか」

ひとしきり雨に関する意見を語ったところで、大きな身体を小さく縮ませる彼に視線をよこす。まだまだ出てくる様子がなくて、はあとため息が漏れた。

ていうか、よく机の下なんかに入りましたね。地震がきても大丈夫なんじゃないですか。

「……………かみなり」
「はい?」
「……雷、こえぇんだよ」

悪いか、と言われても困ります。どう返せばいいか悩んでため息をもう一度。そんな図体して、なんて言えないほどにはこの人にかわいいところがいっぱいあることを知っていた。まあはっきり言って、怖いんだろうなという目星はついていましたし。

「そんなこと言って、雷の日はいつもどうしてるんですか」
「布団被って寝る」
「試合とかあったら、」
「あったことない」

ぴかり、ごろごろ。
会話してるうちにも雷が落ちる。肩を震わせて更に小さくなる彼を、本当にどうしてくれましょう。引っ張っていこうにも明らかに力が足りませんし、口で説得するしかなさそうです。じめじめした教室でいつまでも二人きりでいたって仕方がありません。甘い雰囲気ならまだしも、こんな状況なんです。不快な湿度に汗をかくよりも、君とバスケをして汗を流したいと思うのは必然でしょう?

「へえ。ボクとバスケしたい気持ちは雷への恐怖心に負けるくらいなんですか。わかりました」

じゃあ、先に言ってますからと続けるつもりだった言葉は、伸びてきた腕がボクの腕を掴んだことで飲み込まれることになりました。悪かった、だから、行くぞ、とけして大きくない声量で呟かれた彼の言葉を、しっかりとこの耳で拾うために。



ボクのほうでしょう?




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強か黒子さまと雷が苦手なかがみん。


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