(高尾と黒子)


秀徳戦以降、黒子と緑間がなんだかよくつるむようになった気がする。というより、明らかになった。誠凜の校門前にリアカーに乗った(もちろん運転手付きだ)緑間の姿を時々見かける。まあ女同士なら心配ないし、仲のいい友達がいるのはいいことだと気にしてはいなかった。











「はあああっ!?まだ火神に話してない…!?」

目の前の少女が発した言葉の衝撃に一瞬静止した後、それを乗り越えた高尾は素っ頓狂な声をあげた。それに色素の薄い少女、黒子は言いずらそうにはいと肯定を返す。

「だって火神君、話したら絶対許してくれないですもん」
「あー…まあ、な」
「高尾君も嫌なんでしょう?」
「そりゃあ…だって真ちゃんを他のヤツらに撮られるとか、ねえ?」

思い至る節のありすぎる高尾は苦笑することしかできない。当然のごとく反対して、するなと言うんだったら別れると言われた事実は記憶に新しい。オマエはオレから楽しみを奪う気か!と延々続いた言葉たちはまだしっかりと耳に残っている。
今でこそ協力という形を取ってはいるが、最初は大喧嘩へと発展しかけた程だったのだ。

「でもさーあんな楽しそうな真ちゃんみたらほだされたというか。やっぱやりたいことやっててほしいし」
「…そうですか」
「テッちゃんもいつか打ち明けてみなよ。アイツ独占欲すごそうだけどさ、きっとわかってくれるって」
「だと、いいんですが」

気弱そうに見えて常に強気な黒子の珍しい姿に、この子もやっぱり女の子なんだなあと高尾は失礼なことを考えた。俯いてしまった頭に、少女の恋人がよくしているように掌を乗せて掻き乱す。さらさらとした髪は随分と触り心地が良い。

「こーら、ぐだぐだ考えなさんな。それとも何?アイツそんな器狭いワケ?」
「そんなこと…!」
「だろ?だいじょーぶ。きっと受け入れてくれるからさ」

にっと笑う高尾に、黒子はやっといつもの無表情に戻る。無表情ながらほわりと雰囲気が温かいのがわかるのは、おそらく彼女と仲のいい限られた人達だけだろう。その一人である高尾が気付かないわけもなく、そっと笑みを深めた。

「どうして、そう言い切れるんですか」
「えー男のカン?」
「なんですか、それ」
「いーじゃんなんでも。それよりホラ、早く手直しすんぜ。もたもたしてっと真ちゃんにどやされちまう」

さっきまでの様子はどこへやら、情けない顔で高尾が言葉を吐き出したと思うと、たん、たんと階段を上る音が聞こえてきた。黒子のために今日は特別に紅茶を淹れてやるのだよ、と告げて下に降りていった緑間とみて間違いはないだろう。やっべと呟いてマチ針に手をのばす高尾に、黒子は今度は誰の目にも見えるように微笑んだ。




(何してるかは、もう少しだけ聞かないでくださいね、火神君)





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やってしまった腐女子設定。きっと需要は全くないでしょうが、書いてる本人すごく楽しんでます。これぞ誰得春得状態。読む人を選びそうです。

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