=愛してる | ナノ


最初に言っておく。私は決して頭が悪いわけじゃない、むしろ良い。定期テストで一番は余裕だしこの間の模試だって全国のトップ50には入った。なのに何故、補習なんてものを受けなければいけないのか。

「知らねえよこんなの」
「知らないんじゃないでしょ分からないんでしょ、なら覚える。以上」
「覚える気なんてねえよ面倒くせェ」

私には無縁なはずの「補習」を受けざるをえなくさせた張本人は、まるでやる気の感じられない態度で机の上のプリントを眺めた。殺意がふつふつとわき上がってくる。そのプリントで指切って失血死しろこのアホが。アホ杉に改名しろ。

「どうして覚えようとしないの。今ここで覚えなきゃまた次のテストで補習でしょ悪循環じゃない。なら今ここで覚えた方が得」
「だりィ」
「そこをなんとか頑張るの」
「頑張りたくねェ」

ならもう死ねよ、という前歯当たりまで出かかったセリフを酸素とともに肺へと押しやり無理矢理笑顔を作る。ああだいぶ引きつってるだろうな自分でも分かるよ。

「なあ、お前」
「何?何か質問」
「俺のこと好きだろ」

生まれてから18年ずっと活動を続けてきた脳みそが停止した。ブレーカーがすごい勢いで落ちた。何?ナニイッテルノコノヒト

「ごめん高杉君、もう一回言って貰って良いかな。できればゆっくりはっきり大きな声で」
「だから、俺のこと好きだろ。頭良いくせに俺の補習に付き合うし、やたら熱心に教えてくるし」
「・・・やばいよやばいよ。この人思考回路がやばいよどこをどうすればそうなるのどうすればそんなブッ飛んだ考え方になるの」

こんなアホ杉の補習に付き合ってやってるのは担任の銀ちゃんに手に負いきれないと頭下げて頼まれたからで、熱心に教えるのは一度引き受けたからには完遂したいからだ。それをよくもこんなに都合よく考えられるものだある意味すごいよアホ杉。

「いいぜ」
「何が」
「付き合ってやっても」
「は」
「そこそこ見れる顔じゃねェかお前」

おかーさん、ここにものすごい人がいるよ。痛いとか言うレベル越しちゃってる人がいるよ超人がいるよ。しっ、静かに、まー君あのお兄ちゃんには近づいちゃ駄目よ。そんな会話が聞こえてきそうだ。ちょっと待ってそこそこ見れる顔ってなんだ自分が良いからって腹立つ。

「別にア・・高杉君のこと好きじゃないけど」
「遠慮すんなよ。今言いかけたアってあれだろ。『あ、うん、何でバレっちゃったの』的なヤツだろ」

全然違いますけどォォォォォ!!普通に「アホ杉」って言いかけただけですけどォォォォ!!気持ち悪いよこの人怖いよナルシストにも程があるよ。さっさとヅラかろう(注:桂君ではない)

「照れんなよ」
「照れてないからね。私本当に本当に高杉君のこと好きじゃないからねむしろドントライクだから」
「ドントライクって何だよ。あ、愛してるとかか」

私はこの時悟った。高杉晋助は本物のアホだった。今の彼は全世界のアホの頂点に君臨していると言える。うんうん何事も一番になるのは良いことだよ。

「じゃあお揃いじゃねェか。俺もドントライクだ」



=愛してる

「どうでもいいけど高杉君はガチで英語勉強した方が良いと思うよ」
「お前が教えろ」
「断固辞退します」





アホ杉可愛いよ



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