その頃意中の彼は | ナノ


空が青い。よし、今日も絶好の抹殺日和だ。

「俺は今お前を抹殺してえよ。今目の前にいるお前を、この世から抹殺してやりてえよ」
「何で二回も言ったんですか、何で同じこと二回も言ったんですか」
「そっくりそのままお前にそのセリフ返してやる」

もう飽きるほど見た副長のイライラ顔を視界に入れないようにうーんと大きく伸びをするとその手をガシッと掴まれた。通り魔か、強盗か、はたまたレイプ魔か。

「何するんですか副長!!私無理矢理は嫌です!!」
「あのさ、お前一回滝行行ってくればいいと思うよ」
「離して下さい!!いくら副長でも、上司でもこんなこと・・・!!こんな命令聞けません」
「まず先に人の話を聞けよ」
「こんな・・・お天道様の下でなんて私・・・!!」
「もう誰か助けてくれ。仕事ほっぽり出してひなたぼっこしたあげくレイプ魔呼ばわりするこの馬鹿から俺を解放してくれ」

こんな天気の良い日に仕事なんてしてられない副長の抹殺でもしようじゃないの。その前にひなたぼっこして何が悪いんだろうこんな青空なのに。

「仕事しねえでサボってるヤツがあるか」
「だから副長は私を無理矢理襲おうと・・・」
「いっそのこと襲われろ。死神的なものに」

死神的なものっていうのはやっぱり副長自身ことだろうか。だよね副長死神みたいなもんだし心とか心とか。未だに手を離さない副長。どれだけ私が好きなんだろう。

「お前今とんでもねえこと思ったろ。俺に対して最上級に失礼なこと思ったろう」
「はて」
「どれだけ自分のこと好きなんだろうとか絶対思っただろう嫌だもう俺お前にそんな誤解されたら屈辱すぎて死ねる」
「じゃあ死にます?」

まさか副長に自殺願望があるとは思わなかった。本気で目が虚ろになっていた副長の隙をついて手を振りほどく。お、案外簡単。そのままスタートダッシュの要領で庭を駆け抜け避難所である山崎の部屋へと急いだ。後ろを振り返る。もう追いついてるかもしれない。ん?アレ?いない。え。何で?・・・・・ちょっと、心配になるじゃないですか。


そのころ意中の彼は

「ちょ待て待て俺は完璧だったはずだ何でバレた?総悟か?いやそりゃねえなじゃあ何でだよ何であいつ俺があいつのこと好きだって知ってんだよマジでもう死にてえ」




そしてこの独り言はきっと山崎辺りが聞いちゃうんだと思います。それもまた良し。



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