404 Not Found | ナノ
「勝呂、駅前に新しい焼肉屋ができたそうだ」
へーと気のない返事をすると、笹原はぐいっと顔を近づけ、同じセリフをさきほどより鬼気迫った様子で繰り返した。あかんあかん。こいつと下手に関わったら取り返しのつかんことになるのは先日の任務で明らかやないか。
「何で俺やねん。ほかにもっといるやろが」
「勝呂はいかにも一日三食全て肉系男子だからな。でもまあそんな理由なんて細かいことはどうでもいいのだよ君」
もう予約はとってあるぞ早く行こう、暇だろう。相変わらずのポーカーフェースながらも期待のこもった目で俺を見る。たしかに俺は暇には暇だがこいつに付き合ってやる暇は一秒足りともない。周りのやつらが鳩が豆鉄砲を食らったような顔で俺達を眺めている。そらそうやろな。こないだの合同任務以外に俺と笹原に何の接点があるっちゅーねん。ほぼない。
「ほかのやつと行けや」
「いやだ」
「なんやねんもうしんどいわ」
だからこれは気まぐれだ気まぐれ。ちょうど開いていた魔法薬学の教科書をかばんに突っ込み重い腰をあげた。おお!さすが勝呂!ツンデレだな!と勘違いも甚だしい笹原の頭を思いっきりはたく。
「わたしは豚肉が好きなんだ。醤油せんべいの次の次くらいに」
「豚肉好きて。そればっか食うてほんまもんの豚なっても知らんで」
「安心しろ。わたしが世界で一番好きなのは勝呂だからな」
親指をグッ!と立ててあっけらかんとそう言う目の前の女に目眩がした。ここどこだと思ってるんや。勘弁してくれ。
20110814