テキスト | ナノ

レプリカの青春に嫌気がさした。告白されて、特に断る理由がないからと付き合って、デートして、一緒に登校してみたりなんかして、冷やかされて、些細なことで喧嘩して、仲がこじれて、別れる。ひたすらその非生産的な行動の繰り返し。馬鹿みたい。
それに比べてエイジの隣にいるのは楽しい。彼はいつだってペンを握っていて、そこから何かを造りだす。いわば創造主。彼の瞳はマンガ以外のことに向けられることは少ないけれど、たまにそのガラス玉のように澄んだ目で見つめられると、ああ生きてて良かった、なんて大袈裟なことを思える。

ふとした時に、彼が見ている世界とわたしが見ている世界は違うのではないかと感じる。彼の見るペンはわたしの消しゴムで、彼の見るうさぎはわたしの猿かもしれない。もしかしたらその逆かもしれない。それは誰にも分からないけれど、わたしはそうなんだと思う。だから彼はきっと、以前のわたしを見てもレプリカの青春真っ盛りとは思わない。今のわたしを見ても、まさか彼に恋している本物の青春真っ盛りだとは思わないだろう。



いたいけ

20110404



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