テキスト | ナノ

いち、に、さん。カレンダーのうえに並ぶ数字に指をあてて、わたしにのこされた時間を数えてみた。のこされた、だなんて、まるであと少ししか生きられないみたいだけど、実際、わたしにとって"卒業"は、それと同じようなものだ。みんなばらばらになって、違う場所で、違うひとたちと、違うときを生きるのだ。もちろん、わたしも。そして、この薄っぺらいカレンダーをたった二枚めくると、もうそのときが来る。そのときが過ぎれば、わたしはもう「高校生」じゃなくなって、真っ黒いヘアゴムも、ひじとせなかがテカテカと光っているセーラー服も、いらなくなる。この名札も。ぜんぶ、ぜんぶ。
時間がとまればいいのに、とこどもみたいなことを思った。ふんっと念じたら時間がとまる力とか、時間をじゆうに操れる力とかそういう力が、わたしにあったらよかったのに。でもわたしは所詮ただのにんげんで、まさかアメリカのマンガみたいなスーパーヒーローも現れないから、ただ時間だけがどんどん過ぎていく。あと二ヶ月、ああ、やだなあ。もっとけんやといっしょにいたかったな、なんて。



さよなら

20120124



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