「ようしじゃああとは体育祭委員だな」



教卓に立つ先生が言った。ホームルームで順に学級委員、図書委員、文化祭委員と決まっていった委員会は、最後の体育祭委員の選出に差し掛かった。どの委員も誰も進んで立候補せず推薦や先生からお願いされて決まっていた。そして案の定、体育祭委員もそうだった。



「うーんそうだな…できれば体育会の部活の人がいいんだけどな…そうだ、苗字はテニス部だったな、どうだ」

「え、私ですか?別にいいですけど…」

「あと男子がもう一人…澤村、バレー部だったよな。じゃあ」

「あ、澤村は主将で忙しいので、俺がやります」



考えるより先に俺は手を挙げていた。先生は笑顔になりながら「おお、感心だな。ありがとうな菅原」と言いながら黒板に俺と苗字の名前を書いた。大地は驚いたように俺のことを見たが、すぐに感謝の意を込めて手をちょいと振った。少し悪い気がした。もちろん主将の大地に負担をかけたくないのは本当なのだけど。少しでも苗字との接点が欲しくて、俺は名乗りを上げた。



「スガ!委員会、来週の水曜だって。一緒に行こう」



授業が終わってから苗字が俺に言った。「先生に言われてだったけど、やっぱり最後の体育祭に関われて嬉しいかも。ね!」と言う彼女は本当に言葉通りわくわくしているようだった。俺はそうだねと頷いて、プリントに目を落とした。騎馬戦、棒倒し、リレー、綱引き…。それらができるのが今年で最後かと思うとなんだか寂しかった。



「楽しみだな、体育祭」

「うん、最後だもんね。三年四組、私たちで盛り上げてこ!」

「そうだな」



苗字が楽しそうに笑う、そして俺も自然と笑顔になる。どうしてだろう、俺は苗字が笑ってる顔がものずごく好きだ。それで、ずっと彼女には笑っていてほしいと思う。彼女の笑顔のためだったら、俺はなんでもできると、本気でそう思えるんだ。

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