「同じクラスだな、スガ」

「ああ、よかった。最後に同じクラスになれて」



クラス表が印刷されている紙を持って大地と階段を上っていた。ついに俺らは三年生になった。大地を主将、そして俺を副主将として新入生を迎え入れることになる。どんな一年生が入ってくるだろう、と胸が躍った。廊下に出ると、多くの生徒が入り乱れ落ち着かない雰囲気だった。



「澤村!スガ!」

「おお、苗字」



教室に入ると、やはりいた。クラス表をもらった時、大地よりも旭よりも先に彼女の名前を探していた。自分の名前のあるクラスに彼女の名前も見つけて、思わずガッツポーズをした。やっと、三年目で同じクラスになれた。体育会の部活で繋がりがあってそこそこ仲良くはしていたけど、今までずっと違うクラスだったから、嬉しくてたまらない。軽く手をあげる大地に俺も続いた。



「同じクラスになるのは一年生ぶりだな」

「うん。スガとは初めてだよね」

「そう、意外と」

「そう、意外とね」



苗字は無邪気に笑う。「ああ確かに意外だな」と大地が言った。俺らは部室周りでよく会う。よく苗字が重そうにテニスボールの入ったかごを持っているから、時間に余裕がある時はコートまで代わりに持ってあげたりした。そのせいか女子テニス部だけでなく男子テニス部の人にまで俺は「紳士な人」というレッテルを貼られ、たまに苗字の彼氏だと勘違いされることまであった。その勘違いは、決して嫌いじゃなかった。俺の顔を見て「あ、名前さんの彼氏…」とテニス部の後輩であろう子たちに囁かれるのは、本音を言うと結構いい気持ちだ。



「いつもスガにはよくしてもらってるから、なんかずっと同じクラスな気がするね」



よくしてるのだって、みんなにそうしてるわけじゃない。君だから。俺が彼氏だと勘違いされると「違うってば!もう、スガも内心嫌がってるからみんなやめたげて!」と慌てて周りを追い散らすのだが、俺は嫌がってなんかいない。でももし、苗字が少しでも嫌な気持ちをするなら、そういう勘違いはなくすべきだ。俺は、苗字の気持ちを第一に考えたいから。



「最後の半年、頑張ろうな」

「うん!」

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