支え合って私達は生きていく

▽カカシ視点


今まで何人もの同期を戦闘で亡くしその度に涙した。そのうちに涙は枯れたかのように流れなくなり、心は冷たく凍りつき、感情が無くなっていくのを自分で感じるようになった。それを俺は心が強くなったものだと思い込んでいた。この世界で生きていくためには感情など必要ない、涙は流してはいけない。そう勝手に決め付けていた俺。けれど。それは間違いだった。それに気づかせてくれたのは俺よりも遥かに年下の女の子。俺が傷つくたびに心配して、俺のために涙を流してくれて、治療をしてくれた。一生懸命、何度も何度も。

「せん、せぇ…死なないで…お願い…!!」

倒れこむ俺の下に真っ先に駆けつけて治療をしてくれた。俺のことを本気で心配してくれ本気で思ってくれるこの女の子の小さくて綺麗な手を何度も俺の血で汚した。そしてそれが何故か気持ちいい。サクラの綺麗な手を俺の血で汚すことによってサクラが自分のものであるかのような錯覚に陥る。汚い大人、薄汚れている。けれどそんなことを知らないサクラは必死で治療を続けてくれた。何粒も綺麗な涙を俺の頬に落としながら。涙で濡れる頬にそっと触れれば頬にもベトリと付着する俺の血。ああ、また汚してしまった。

「サクラの可愛い顔、汚しちゃったな…悪い」

サクラは一生懸命首を横に振ってそんなことない、とまた泣いた。先生の血は汚れてなんかいない、だから大丈夫なの、そう言って泣きながら笑うサクラはやけに綺麗で。もう一度ゆっくりとサクラの頬に触れると、柔らかさと温かさにほっとする。人肌に触れて落ち着くなんて、いつぶりだろうか。もう何年もこんな安心感味わっていないような気がする。ふっと思わず小さく笑った俺にサクラも笑みをこぼす。

「先生、絶対に私が治してみせるから」
「うん…ありがとうサクラ」

サクラの頬に添えた俺の手をサクラが上から握り締める。小さくて柔らかくて綺麗な手。女の子の手だ。俺も手の向きを変えて握り返す。いわゆる恋人つなぎというやつか。サクラはその瞬間、笑顔を見せた。その表情は恋する少女そのもので、自惚れなんかじゃない。俺のことを一人の男として思ってくれているのだと確信した。そう確信した俺は何故か涙を流していた。

「せんせ…い?どこが痛いの…!」

違う、痛みなんかじゃない。もうとっくに痛みは引いている。サクラの治療のお陰で見た目はまだ確かに治ってはいないが痛みはほとんどない。じゃあこの涙はなんだ。
サクラが俺を想ってくれていると確信した瞬間に流れた涙。…ああ、そうか。俺は不安だったんだ。サクラが俺を想ってくれているのは先生としてなんじゃないかと。出会ったばかりの頃のサクラは本当にサスケ一筋だった。女の子らしくて可愛いなと、生徒として俺も可愛がっていた。だから途中から生徒としてじゃなく一人の女の子として見るようになってからは、俺はサクラの気持ちを常に気にしていた。サスケじゃなく俺を見てくれと。情けないと自分でも思う。けれどそれぐらい俺はこの女の子に真剣に恋をした。今俺を助けようと必死になってくれているこの女の子に。

「カカシせんせえ…っ」
「サクラ、大丈夫だから。もう痛みはないよ」
「でも…!」
「それより聞いて欲しいことがあるんだよね」

俺の言葉にサクラはキョトンとしたような表情を浮かべるが、分かったと言うように頷いてくれる。今まで口にできずにいた想い。告げるときは今なんだと思う。俺はゆっくりと深呼吸した後口を開き、そして告げた。

サクラ、愛している。これからもそばにいて欲しい。


支え合って私達は生きていく

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花火ちゃんへ。
#RTした人にRTした人が今一番気になっているCPで小説書いてプレゼントする
カカサクでした。久々のサクラちゃん受け楽しかった!リクエストありがとうございました。


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