▽リコ視点

好きだ、と告げたその唇は。何故か微かに震えていた。

まっすぐに私を見つめる彼の瞳を私も見つめ返してみた。するとその瞬間彼は私から視線をそらす。両手で彼の頬を包み込み自分の方を向かせてみるが彼の瞳は私ではない別のものを映した。ねえ、どうしてなの。そう訪ねてみれば分からないと彼は口にする。私の瞳が怖いと彼は続けてそう口にした。

「相田の瞳はまっすぐ前を見つめていて、オレには眩しい」
「宮地さんの瞳も私にとっては眩しいです」

そう、彼の瞳は眩しいくらいにまっすぐ未来を見つめていて、私には眩しい。

「相田とオレ、同じだな」

そう口にした宮地さんは驚く程優しい笑みを浮かべていて。一瞬別人のように見えた。

宮地さんの第一印象は正直言うと最悪で。初めて会ったとき、彼の推しメンと胸の大きさを比べられ「ちっさ…」と呟かれたのだから当然といえば当然の印象。このときの私は絶対宮地さんに関わらないと決めていたのに、今ではこうして宮地さんと会話を楽しんでいるのだから不思議だ。

「相田の瞳はすげえ綺麗だ」
「そう、ですか?」

瞳を褒められたことなんて無かった。私からすれば宮地さんの瞳の方が何倍も綺麗に見える。

「宮地さんの方が、」
「…相田」
「何ですか?」

私の言葉は宮地さんの言葉で遮られ中途半端に終わる。緊張したような面持ちの彼を見つめて首を傾げれば彼は一瞬戸惑うような表情を見せる。どうしたのだろうと不思議に思いつつもう一度彼の名を呼ぼうと口を開こうとした瞬間、宮地さんは震える唇をそっと開いた。少しかさついた唇がうっすら開く。それがほんのすこし色っぽくて私はつい見入ってしまった。

「あのな…」
「はい」
「好きだ」

だからその告白にすぐに反応できなかった。その言葉を理解するのに数十秒かかってしまった。宮地さんは私の返事を不安そうに待っていて、唇をきゅっと噛み締めている。
緊張とか不安とかたくさんある中で告白をしてくれたんだろうな、って思う。すごく勇気がいることだと思うから。
今になって熱くなってきた頬を両手で抑え私は宮地さんの方を見る。

「…」
「私も、宮地さんが好きです」

上手く言えたかは分からない。声が震えて変な声だったかもしれない。けど、宮地さんは優しく微笑んでいて。その笑顔を見たら私も自然と笑顔になっていた。
ありがとな、と口にする宮地さんにそれは私の台詞ですと笑って答えた。


眩しすぎる君がずっと好きだった


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