▽リコ視点

「一回しばくぞ眉毛」

そんな女らしさの欠片もない言葉を口にすることになったのは全てこいつが原因だ。花宮真、『悪童』の通り名を持つピカイチの性格の悪さを持つ男。私はこの男が大嫌いだ。この男が過去に鉄平にしたことは絶対に忘れない。

「オマエも一応女ならもっと女らしい言葉使った方がいいんじゃねぇの?」
「うっさい。それならアンタも大して親しくない女の子を裏路地に連れ込むのやめたら?」

そう、私は何故か街中で偶然会った花宮に突然腕を掴まれて人気のない裏路地に連れ込まれたのだ。今更だが、腕を掴まれた瞬間にアッパーか何かを喰らわせとけば良かった。あからさまにため息をついてみれば花宮が嫌な笑みを浮かべて一歩私に近づいてくる様子が目に入った。

「な、によ」
「…何されるかは自分が一番分かってんだろ?」

分かりたくもない。アンタに何されるかなんて。
逃げられるもんなら逃げたい。でも、逃げようにも背中は運悪く行き止まり。3mはあるだろうフェンスを飛び越えることは残念ながら不可能。
その間にもゆっくりと近づいてきていた花宮の静かに伸ばされた手が私の両腕をつかんだ。

「強気な女嫌いじゃねぇ…だがその表情を崩すのも面白そうだと思ってなァ」
「…っ!!」

ニタリと言うのだろうか、こういう笑みのこと。できることならその笑みを作り出している花宮の頬をぶん殴ってやりたかった。両腕さえ塞がっていなければ。
私の小さな願いはかなわずに、無防備に晒された唇は奪われた。


亡くなった私の唇

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twitterでお世話になってるきーちゃんへ。
2/22*1800ツイート突破記念。


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