▽R16/リコ視点


久々に火神君の自宅へ遊びに行ってみると、彼はまるで主人の帰りを待ちわびていた犬のように玄関まで走ってきて抱きついてきた。体格差も何も考えずに飛び込んできたわ、このばか。おかげで私の体は後ろに倒れ、頭をドアにぶつけそうになったが火神君が寸でのところで抱き寄せてくれたからぶつけずにすんだ。けれどそれでは私の気が収まらない。怒鳴ってやろうと火神君の方に顔を上げてみれば、そこには満面の笑みを浮かべた火神君。何かいいことでもあったのだろうか。男子高校生にしては可愛らしいふにゃりとした笑みを浮かべたあと、火神君はまた突然私の体を強く抱きしめてきた。

「ちょっ、こら!」
「あんまり暴れるな、っす」
「だって火神君が…!」

そうよ、火神君が悪いのよ。い、いきなり強く抱きしめたりするから私の心臓がうるさくなって…。私はどきどきと鳴る心臓を両手で抑えて落ち着こうとしたけれど、突然私を抱き上げる火神君に驚いて私の心拍数はまた上がった。「どこ行くの」なんて聞かずとも分かるのは、私も少し期待していた部分があったから。久々にできた二人きりの時間。そういう恋人らしい行為を期待しないわけがないわ。

寝室に入ると火神君は誰かいるわけでもないのに鍵を閉めた。首を傾げて火神君の方を見上げれば「イケナイことしてるみたいで燃えないすか?」なんて笑いながら口にする。してるみたい、じゃなくてしてるのよ。もう…。呆れてため息をついた私を火神君は乱暴にベッドに下ろしてそのまま覆いかぶさってきた。

「か、火神君…っ、そんなに焦らなくても、んっ」
「どんだけオレが我慢したと思ってんだ、です」
「え、あ…」

そう口にした火神君の下半身の中心部が私の太ももに軽く当たった。私を激しく求めている証拠に火神君の性器が硬くなっていた。前に抱かれた時のことを思い出して頬が熱くなる。火神君はそんな私を見てにやりと意地の悪い笑みを浮かべて、耳元で囁く。

「…そんなえろい顔して何を考えたんすか?」
「ば、ばか…っ」

恥ずかしくなって火神君の胸元を思い切り叩いてみたけれどびくともしない。それどころか自由だった腕も拘束されて完全に抵抗ができない。久々の性行為、私も期待していた部分があっただけにいつもより体が敏感に反応する。しばらく胸の感触を楽しんだあと私の下半身に顔を近づける火神君。いつもよりだいぶペースが早いけど、私も我慢できなくなっているから止めようとは思わなかった。

「すげえ可愛い、です」

嬉しそうに微笑んだ火神君が何だか可愛くて私も思わず笑顔になる。そしてそんな私を見て火神くんは頭を優しく撫でてくれた。その温かい手に安心して私は火神君を抱き寄せて胸元に顔をうずめた。

「…優しくしてね」

その言葉に火神君が頷いてくれた。私は顔を上げてそっと火神君の唇に唇を重ね、いれてもいいよという合図の代わりに微笑んだ。


甘美なる行為と微笑みと

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2013年《リコ生誕企画》
ももさんへ


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