オリジナルマッサージの続編

以前リコが部員に施したリコ流マッサージ。スポーツをしている者なら一度はお世話になる整体院だが、プロの整体師並にリコの施術は的確で気持ちよかったらしく、それ以降何度かリコに頼むようになった部員たち。部員はそれをリコにもしてあげられないだろうかと考えた。毎日部員全員を支えサポートしてくれるリコの肩は凝りに凝っているのではないだろうかと思ったのだ。だが、だからといってリコのように本格的な施術はできない。日向たちは何かいい案がないか考え、1時間ほどかけて何とかいい案を見つけた。

「本格的なもんはできないけど肩もみぐらいなら、オレたちにもできるだろ?」
「ああ、それぐらいなら大丈夫だな」
「一人10分だからな。それと…肩もみするフリして不埒なことしたらどうなるか分かってんだろうなァ…?」

一瞬でその場の空気が凍りついたのを部員たちは感じた。絶対に変なことなどできない、日向というリコ護衛隊がいるのだから。部員たちは肩もみ中に変な気を起こさないように気をつけようとその時強く心に誓った。

だが、リコの肩をもんであげるということは想像以上にハイレベルな仕事だったのだ。

「んっ、そこすごい気持ちいい…っ」
「カ、カントク、変な声出すな、です…!」
「あら、そんな声出し、んぅっ!」
「…!!!!」

一番手の火神はもう半泣き状態で、日向たちに助けを求めようとアイコンタクトを送るが、残念ながら日向たちも同じ状態で鼻を抑えて火神がいる方とは真逆の方を見ているのだ。何かを必死に我慢している様子がよくわかる。一部の部員にいたっては鼻からなにか赤いものが控えめに垂れている。火神は自分の担当時間が早く終わればいいのにと思いながらリコの誘惑と格闘を続けた。

「もう、オレ死ぬかと思ったっす、よ」
「お前は頑張った!よく耐えた!」

リコの肩もみを終えた安堵から火神は大きく息を吐き出しながらそう口にすると日向たちは口々に火神に労いの言葉を送った。しかしこれから自分たちも火神が格闘したリコの誘惑に打ち勝たなくてはいけないのだ。どれだけ精神的にきついものなのかは火神の様子でよくわかっている。リコの無自覚の誘惑の恐ろしさを改めて感じた日向たちは躊躇し始めた。
しかし黒子だけは余裕の笑みを浮かべて「ボクがいきます」と口にした。何か変なことを考えているのではないかという黒い笑み。こいつをいかせてはいけないと彼らは直感した。

「黒子、てめえ今何考えてんだ?」
「どさくさにまぎれてカントクに触れようとか、考えてねえよなァ?」

日向と火神がキレ気味に、しかし笑顔で尋ねれば黒子はそれ以上の笑顔で口にしたのだ。

「考えてますけど、何か問題でも…?」
「大アリだっての!だアホ!!!」

黒子の清々しいほどの笑顔とは裏腹の発言に日向はクラッチタイム突入。そして日向以外の部員、いつもはキレることがあまりない伊月や小金井まで怒りに燃えていた。目をギラギラと光らせ今にも黒子に飛びかかりそうな勢いだ。しかし当の本人は依然変わらぬ笑顔を浮かべて、挑発している。たった一人で日向たちに挑む姿勢をしめした黒子に日向は遠慮などしようとは思わなかった。影が薄いといってもキセキの世代の一人。何をするか分からない上に、リコ絡みになるとやたら戦闘能力が上がるのだから。

「ミッションスタートだ!黒子を捕獲しろ!!!」
「「おお!!」」

日向のその言葉に部員たちが黒子に向かって走り出すと黒子も普段からは信じられない速さで走り出した。
こうしてリコを狙う不埒な輩を処罰するための鬼ごっこが始まったのだった。


きみを守るために走り出す
(もうみんなして鬼ごっこ始めちゃって!私も混ぜなさい!)

−−−−−−−
2013年《リコ生誕企画》
ルナさんへ



BACKNEXT


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -