▽黄瀬視点
他校のバスケ部の監督っていうだけでハードルが高いのに、ライバルが青峰っちとなると、…オレ勝てるんスかね?いや、勿論リコさんを思う気持ちは誰にも負けないつもりでいるけど、青峰っちも多分オレと同じことを思ってるだろうし。
隙あらばリコさんに手を出すだろうし、うかうかしてらんないのも分かっているつもり。けどいざ何か行動を起こそうかとすると、何せオレヘタレなんで勇気が出ないっていうか。いや、まあそんなことしてたら青峰っちに取られちゃうよね。だから今日こそは、と誠凛バスケ部の体育館前に来てみたわけだけど。
「どうして青峰っちがいるんスかー!」
「あーまじねえわ。馬鹿な黄色頭とこんな朝っぱらから会うとか」
「酷いっスよそれ!」
別に何かしたわけでもないのにこの言われ様、どういうことっスか。なんて落ち込んでいる場合でもなさそうスね。青峰っちがここにいる理由は多分、黒子っちに会いに来たかリコさんに会いに来たかのどっちかのはず。オレの予想では後者だけど、できれば前者であって欲しい。会いに来た目的の人物がかぶるとかまじ勘弁スから。
そんなことを考えていたらいつの間にか青峰っちが消えていた。いや、いた。何故かリコさんを抱きしめている。っていうか抜け駆けされた!
「青峰っちずるいっスよ!!オレも抱きしめ「オマエはダメ。リコはオレのもんだし」
「いつ私がアンタのものになったのよ!」
青峰っちの腕の中にいるリコさんがそう叱っているけど青峰っちは離れようとしない。何だかイライラしてきたオレは多少強引にリコさんと青峰っちを引き剥がす。相手が青峰っちだけあって中々離れなかったけど何とか二人を離すことには成功した。ムスッとした表情の青峰っちとは反対にリコさんは安心したように笑い、それからオレの背中に隠れて制服の裾を引っ張る。
「ありがとう、黄瀬君」
にこりと笑うリコさんはたまらなく可愛くて、頬が緩むのも気にせずその笑顔に見とれているオレを青峰っちは「きもい」と一刀両断。
「オマエさあ…消極的すぎじゃねえ?今のリコ見て抱きしめないとか男としてどうだよ」
鋭いところをつかれてつい言葉につまる。青峰っちはそんなオレを鼻で笑って、オレの背中に隠れていたリコさんの腕を引っ張る。あっという間にリコさんは青峰っちの腕の中。リコさんは助けを求めるようにオレを見つめている。ああ早く助けなくちゃ、そう思ったときには青峰っちの唇がリコさんの頬についていた。
「男なら、バスケも女も積極的に、だろ?」
まるで宣戦布告。獣のような瞳でオレを睨み、口元には笑みを浮かべる。受けてやろうじゃないスか。オレは青峰っちがキスした頬とは反対の頬にキスをする。「遠慮なんてしないスから」そう言ったオレに青峰っちは楽しそうに笑った。
鈍感な女には積極的に
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