▽いい夫婦の日/火神視点
夫婦になれば少しは甘えてくれるかなって思ってた。けど、この人は相変わらずオレに頼らない。オレが頼りにならないかって聞けばそうではなくて、自分のことは自分でしないと気がすまないと言う。まあ、リコらしいといえばリコらしい。けど、もうオレたちは夫婦なわけで、少しは甘えて欲しいとか思ったりもする。そんなことをさりげなく言ってみたらリコは笑って「私のガラじゃないわ」と言った。ガラとか、そういうのはどうでもいいんだ。ガラじゃなくても、リコに甘えて欲しい。今まで面倒みてもらった分だけ、今度はオレがリコを甘えさせたい。そう思っちゃいけないのか?
「…別に、甘えたくないわけじゃないのよ。ただ、」
「ただ何?」
「は、恥ずかしいじゃない。そんな今更甘えるだなんて…」
そう顔を赤くして言われて、なお更引き下がるのが嫌になった。何が何でも甘えてもらう。オレはそう決心して、リコにもう一度甘えてくれと言ってみた。リコはその言葉にうっと言葉につまる。頬はどんどん赤く染まって、耳まで赤くなっている。めったに見られないリコの表情を見ることができたオレはそれだけでニヤける。リコはオレのその顔を見て「何笑ってるのよ」とオレの胸をポカッと叩いてきた。その後も連続でポカポカと叩いてくるが、何にも痛くない。
それよりも頬を真っ赤にしてオレの胸を叩いてくる姿が可愛く見えて仕方がない。つーかまあ、元から可愛いけど。でも、いつもとは違う可愛さっていうか。なんていうか。とにかく可愛い。
「…もう、何ニヤけてるのかしら大我君」
「いや、何も。ただ、リコが可愛いなって」
「…っ!ば、ばか!」
オレの言葉に恥ずかしがって拗ねるリコ。拗ねるリコさえも俺には可愛く見える。…つーか思ったけど、ただ甘えるより今みたいに言い争ってる方が楽しい、かもしれない。リコの色んな表情が見られるから。
拗ねた顔が可愛いんだって
title by 31D
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いい夫婦の日記念。火リコはいつまでもケンカップル。
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