いつでも寂しいときは頼って欲しい、そう願うことは迷惑なことだろうかと日向は思った。リコが苦しんでるときや悩んでるとき、寂しいときは自分が傍にいてやりたい、励ましてやりたい、と思うほどリコが大切だった。日向いつの間にかカントクとしてではなく一人の女としてリコを見ていた。だがリコは日向の想像以上に強くて、弱気になったり泣いたりなんてしなかった。それを寂しいと日向は感じる。そのとき日向は初めて気づく。頼って欲しいのは自分が寂しいからということに。自分の弱さに改めて気づかされ、情けなくて、思わず出てしまうため息。リコはそれに気づき声を掛けてきた。

「日向、君?どうしたの?具合悪い?」
「ん。いや、何でもねーよ」

そういつものような口ぶりで返事をした。弱い自分を知られたくはなかった、だから日向はいつもの自分を必死で演じて見せた。リコは「そう?」と言ってから優しく微笑んで言う。

「悩みがあるならいつでも相談して欲しいな。一人で何かを背負うのは辛いでしょう?」

その言葉は日向の胸に届き、響き渡る。リコの強さが、リコの優しさに日向はいつの間にか涙を流していた。ダサい自分を見られたくないと、涙を拭おうとしたが、リコに止められた。リコはバカにしたり笑ったりもせず、微笑み、「泣いていいのよ」と優しい声で言った。

「何かを守るために流す涙も、何かを失って苦しくて流す涙も、理由は何であれ大切なものでしょ?だから、泣きたいときは好きなだけ泣くのが1番良いのよ」
「…っ、く、ぅ、あっ…うぅ」

リコの言葉があまりにも優しすぎて日向には涙をこらえることなんてできなかった。日向は自分の弱さを改めて感じて、悔しくてたまらなかった。リコは日向が落ち着くまでずっと黙って傍にいた。


きみが泣き止むまで傍にいるよ


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