間接キスでもいいから、意中の相手に近づきたいと思えるなんてすごいとリコは思った。正直恋には興味がなく、お洒落なんかもしたいとは思わなかった。誠凛バスケ部の監督でいることが一番の幸せだから、彼氏なんていらない。けど、火神に思いを告げられてから少し恋について考えさせられた。

「火神君、も、う一度言ってくれる?」
「オレは、カントクが好きだ…です」

あまりにも突然で上手く聞き取れなかった。何かの間違いだろう、もしかして夢かもしれない、そんな思いでリコはもう一度聞いた。すると返ってきた言葉は一回目と同じで、リコは再び口を閉ざしてしまった。火神はまっすぐリコだけを見つめた。リコはその瞳に吸い込まれるような感覚を味和された。情熱的な赤い瞳からは彼の熱い思いが伝わってくるようだった。その瞬間に急に顔が熱くなってきた。

「別に返事とかいらないスから。じゃ」
「あ、え、か、がみ君…っ」

火神はそれだけ言うと練習に向かって言った。リコは思わず名前を呼んでしまったけど、火神は立ち止まる気配はなかった。背中を向けたままどんどんリコから遠ざかっていった。

「恋、なんてくだらないと思ってたのに」

(どうせなら、)
甘い夢を見させて?

title by 待ってて神さま


BACKNEXT


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -