最近ライバルが増えたなあなんてのんきに呟く日向に、伊月はずいぶん余裕だなと笑いかけた。日向は確かにそうだなと言って笑った。日向だけではなく伊月も勿論リコが好きだ。まだ二人なら、いい方だった。けれど、リコのことが好きな男は他校にもたくさん存在する。おまけにモデルである黄瀬だってリコのことを気に入っているのだ。競争率の高さは半端じゃなかった。そんな中で日向は特に何かアクションを起こしたりはしなかった。

「リコさん!会いたかったっス!」

部活中に突然現れた黄瀬に部員もリコも驚いた顔をする。リコが少し怒りながら黄瀬の下に向かう。リコは黄瀬の前に立ち、練習中だということを伝えようとした。しかし黄瀬はにっこり笑ってリコの言葉を最後まで聞かずに突然抱きしめた。そして頬にキスをする。

「な、にするの…っ。黄瀬君!」
「ただの挨拶っスよ。あ、リコさんもしかして照れてるッスか?」

リコが思い切り黄瀬から離れると、黄瀬は名残惜しそうな表情を浮かべた。しかし、口から出る言葉はあまりにも軽すぎて、リコはため息をつく。さきほどまで赤かった頬はもう元通りになっている。黄瀬はまたリコに近づき、抱きしめようとした。しかし、それは周りにいた誠凛バスケ部により止められた。全員ものすごい形相で黄瀬を取り囲み、にこおと恐ろしい笑みを黄瀬に向けた。

「何しちゃってんのかなオレらのカントクに」
「やっぱりただの危険人物だったんだ」
「一回死んでください」
「え、ちょ、黒子っち?!」

黒子のあまりにもブラックすぎる発言に黄瀬は驚く。日向たちは頭に血が上ってしまっているため、黒子の発言には誰もツッコまなかった。ただ、目の前にいる黄色い髪の男をどうやって始末してやろうかと考えていた。黄瀬はリコに助けを求めようとリコに視線を向けるが、リコははぁと小さくため息をついただけであった。

「さて、覚悟してもらおうか。黄瀬」

リコに見捨てられたショックで落ち込んでいる間に、どうやって始末するかが決まったらしく、日向はにやりと笑って黄瀬にそう言った。その後、黄瀬の叫び声が体育館に響き渡った。


俺らのカントクだから


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