ふわりふわり、と花が咲き揺れるように織姫は笑う。日番谷もその笑顔につられるようにして笑った。それからそっと織姫の頬を撫でて、口付けた。軽いリップ音がした後、織姫は驚く様子もなくただくすぐったそうに笑う。日番谷は少しつまらなそうな表情を見せたが、織姫は気づせずにただクスクスと笑っていた。

「…少しは驚け。じゃないと俺が恥ずかしい」
「ふふ、もう顔赤いよ冬獅郎君」
「知ってる」

落ち着いた様子で日番谷に織姫は言った。日番谷は自分でもそのことに気づいていたのでただ一言だけ返した。日番谷は改めて自分の頬に触れ、熱さを感じ取る。この寒さの中でも頬は熱を放出しているということは、相当顔は熱く、また赤くなっているだろう。日番谷は情けない、と自分にため息をついた。

「どうしたの?」
「…こんくらいで照れるような男じゃ情けねえなって」
「そんなの気にしなくていいんじゃないかな。だって冬獅郎君は冬獅郎君でしょう?」

きょとんとした表情を日番谷にみせた。日番谷が変わる必要はどこにもないと、織姫は当然のように言い放った。素直な織姫の言葉は、いつまでも日番谷の心の中で響いていた。「俺は俺」という言葉について考えてみると、答えは意外と簡単で、そしてあまりにも単純なものだった。情けないって思うことこそ情けないのだ、と。

日番谷は織姫を見て、再び深いため息をついて呟いた。「井上には一生敵う気がしねえよ」すると彼女はまたふわりと笑った。


ふわり、ふわり、笑顔の彼女


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