まるで別世界のような食べ物を食べている織姫。そんな彼女がお腹を壊すなんてめったにないことで、寧ろ体調を崩すこと自体なかった。しかしある日織姫はあまりの激痛に立っていられなくなり倒れてしまった。急いで誰かに電話をかけようと思い体を起こそうと思うのだが、立ち上がることさえ不可能だった。起き上がらずに体を引きずりながら携帯がおいてある机にたどり着き携帯をとる。電話帳を開こうとボタンを押した瞬間、意識を手放してしまった。

次に目を覚ましたときには、布団で寝ていた。台所からは何だかいい匂いがしていて、トントントンと誰かが料理を作っている気配がする。織姫はゆっくり起き上がり、台所を覗くと綺麗な銀髪が眼に入った。

「冬獅郎、君?」
「ああ、目が覚めたか。気分はどうだ」
「あ、だいぶ良く…痛っ」

日番谷の質問に笑顔で答えようとした織姫だが、再び痛みに襲われる。よろけて壁にぶつかりそうになる織姫を駆け寄って支える日番谷。小さな体でも彼は男性、織姫をしっかりと支えて布団がある場所まで運ぶ。織姫は小さな声でごめんねと言うと日番谷は優しく微笑みながら言った。

「謝る必要なんてない。お前の世話なら別に嫌じゃねえからな」
「…え?」
「あ、い、いや今のは…ああもういいから大人しく寝てろ!」

照れ隠しなのか、布団を思い切り頭の上までかけられ織姫の視界は真っ暗になる。布団からそっと日番谷の表情を窺うと優しい笑顔を浮かべていた。その表情に織姫は胸をきゅうとしめつけられる。しかもとどめの一発をさされてしまった。頭を優しく撫でてきたので驚いて顔を出すと額にキスをされたのだ。織姫はこれでもかというぐらい頬を赤くして日番谷を見つめた。

「そんな顔するな…。抑えがきかなくなるだろ」
「…冬獅郎君にならいいよ?」
「な…!そ、そういうこと簡単に口にするんじゃねえ!」
「え、だ、だって!」

日番谷は顔を真っ赤にして大きな声でそう言うと織姫は困ったような表情をする。そして「冬獅郎くんが先に言ったくせに…」とぼやく。彼はその場に居づらくなり立ち上がろうとするが織姫に腕をつかまれたためバランスを崩して織姫に覆いかぶさるような体勢になってしまった。そして織姫にそのまま抱きしめられ、日番谷は織姫の胸に顔を埋めるような状態になった。日番谷は顔を真っ赤に染め、織姫の腕から逃れようと抗うが意味がなかった。それは何故かというと、織姫の腕の力が強かったこともあるが、織姫の優しくて甘い香りが心地よいということも理由の一つだ。

「あのね、冬獅郎君」
「…何だ」
「好き、です」
「…ああ、俺もだ」


伝えたかったのはたった一言


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